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天狐あやかし秘譚
第126章 九死一生(きゅうしいっしょう)
息が詰まる思いだった。
今、自分は動くことはできない。ここからもう一度、八握剣を手にして天狐を滅ぼすことなどできる公算がない。

でも、このまま捕まったら、きっと『あの未来』は現実になってしまう。

だったら・・・

提案した変更をすべて反映し、テキストを書き換えました。

スクセはギュッと唇を噛んだ。これから言おうとしていることは、緋紅への絶対的な裏切りにほかならない。でも・・・だけど・・・。

しかし、悩んだのは数秒だった。

スクセは、後ろ手に縛られたまま、ゆっくりと頭を下げた。
「恥を忍んで・・・あなた達にお願いが・・・あります・・・」

そして、ひとこと、ひとこと、噛みしめるように言葉を紡いだ。

自分がかつて、誤って沖津鏡で父が母を殺す場面を『固めて』しまったこと。
緋紅様に拾われて神宝を与えられ、今に至る過程。
同じ人を好きになり、妹への嫉妬にかられて再び過ちを起こしてしまったこと。

その全てをスクセはぽつりぽつりと語った。それはまるで告解のようでもあった。

それを聞いた綾音は『そんな・・・』とつぶやきを漏らした。彼女がどうして悲壮なまでにダリを殺そうとしたのか、その背後にある気持ちを察したからに違いない。御池もまた黙ってはいたが、ギリっと奥歯を噛み締めている様子だった。

「こんなことを頼める義理ではないのは承知です・・・。でも、水有は・・・妹は私に残された最後の家族なんです。この後、私はどんな罰でも受け入れるから・・・だから・・・」

一瞬ためらうように、彼女は言葉を切った。
だけど、それも少しの間だけだった。すぐに何かを思い切るように続けたのだ。

「妹を・・・どうか助けて・・・」

後ろ手に縛られたまま、祈るように深く頭を垂れ、涙をこぼす。
その涙に一切の曇りがないことは、誰の目にも明らかなことだった。
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