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天狐あやかし秘譚
第126章 九死一生(きゅうしいっしょう)
そもそもが、先程、麓でオキナと名乗った謎の人物の襲来時、『星の水盤』に映し出された占いの結果が始まりだった。
あのとき星の水盤には、10分もしない内に天狐ダリに命の危険が迫ることが示唆されていたのだ。そもそも、この状態で鞍馬山に登るのはもう少し後にする予定だったところを、早めざるをえなかったのはそういう理由だったのだ。
――その後のことが水盤に映っていなかったのはこういう理由だったのか・・・
星の水盤の未来予知には限界がある。あまりにも強い力で歪められた未来は『不定』となり、水盤上でもはっきり見えないのだ。あの時はダリに差し迫った明確な脅威を取り除くことに頭がいっぱいになってしまいここまできてしまったが、失敗だったかもしれない。
――いや、でも、あの時こちらがスクセを攻撃しなければダリさんはやられていたに違いないから・・・それは間違っていなかった。・・・問題はこの後だ・・・
まだ夜明け前だ。綾音が死ぬのは昼間の光の中だということ・・・つまり、今ここにいる『綾音』をうまく使えば、この危機を脱出できるかもしれないのだ。
そうは言っても、とにかく今、御池に思いつくのは、結界を強化しつつ少しでもここから離れることだけだった。
そんな中、とうとう目の前に対峙している超呪力と超妖力を有した二人が動いた。
「八握剣・・・天津光乃太刀(あまつひかりのたち)」
スクセが太刀を上段に振り上げ、大地を蹴る。刀身に漲る超高熱がその通り過ぎた空間ごと焼き尽くしながらダリに迫っていった。
「久方の 天地(あめつち)をなす 奇しき玉水
ころころと 隈無(くまな)くとよめ 神漏岐(かむろぎ)の音」
迎え撃つダリの呪言が朗々と響き渡る。上段に構え、少し下を向いた槍の穂先が白銀に輝き、そこに漲る神の力が周囲にあふれ出し、あたかも陽炎が立つかのように周囲の空間を歪めていた。
一足飛びにダリに襲いかかるスクセが、輝く太刀を振り下ろす。ダリもまた全妖力を込めたその槍の穂先でそれを受け止めていった。
「ダリさん!」
御池は叫んでいた。あれだけの力がぶつかりあえば周囲一帯はただで済むわけがない。必死に結界に霊力を込めていたが、己の人生の最後を予感し、ギュッと目を瞑ってしまっていた。
あのとき星の水盤には、10分もしない内に天狐ダリに命の危険が迫ることが示唆されていたのだ。そもそも、この状態で鞍馬山に登るのはもう少し後にする予定だったところを、早めざるをえなかったのはそういう理由だったのだ。
――その後のことが水盤に映っていなかったのはこういう理由だったのか・・・
星の水盤の未来予知には限界がある。あまりにも強い力で歪められた未来は『不定』となり、水盤上でもはっきり見えないのだ。あの時はダリに差し迫った明確な脅威を取り除くことに頭がいっぱいになってしまいここまできてしまったが、失敗だったかもしれない。
――いや、でも、あの時こちらがスクセを攻撃しなければダリさんはやられていたに違いないから・・・それは間違っていなかった。・・・問題はこの後だ・・・
まだ夜明け前だ。綾音が死ぬのは昼間の光の中だということ・・・つまり、今ここにいる『綾音』をうまく使えば、この危機を脱出できるかもしれないのだ。
そうは言っても、とにかく今、御池に思いつくのは、結界を強化しつつ少しでもここから離れることだけだった。
そんな中、とうとう目の前に対峙している超呪力と超妖力を有した二人が動いた。
「八握剣・・・天津光乃太刀(あまつひかりのたち)」
スクセが太刀を上段に振り上げ、大地を蹴る。刀身に漲る超高熱がその通り過ぎた空間ごと焼き尽くしながらダリに迫っていった。
「久方の 天地(あめつち)をなす 奇しき玉水
ころころと 隈無(くまな)くとよめ 神漏岐(かむろぎ)の音」
迎え撃つダリの呪言が朗々と響き渡る。上段に構え、少し下を向いた槍の穂先が白銀に輝き、そこに漲る神の力が周囲にあふれ出し、あたかも陽炎が立つかのように周囲の空間を歪めていた。
一足飛びにダリに襲いかかるスクセが、輝く太刀を振り下ろす。ダリもまた全妖力を込めたその槍の穂先でそれを受け止めていった。
「ダリさん!」
御池は叫んでいた。あれだけの力がぶつかりあえば周囲一帯はただで済むわけがない。必死に結界に霊力を込めていたが、己の人生の最後を予感し、ギュッと目を瞑ってしまっていた。

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