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天狐あやかし秘譚
第126章 九死一生(きゅうしいっしょう)
ギュッと天魔反戈を握る手に力を込める。そこまでの決意をした者が、このまま退くわけがない。おそらく、そう遠くない頃に身体の崩壊が始まるだろうが、それまでに一撃、もしかしたら数回の攻撃が繰り出されるかもしれない。その攻撃の一つ一つが超威力であることは想像に難くないのである。
周囲には陰陽師たちも多くいる。近くはないとは言え、人里もある。野放図に力を放つことを許せば、一体何人の人間が巻き添えになるかわからない。
ならば、ここで抑え込むよりほかない・・・っ!
高熱を含んだ強風の中、ダリは槍を高らかに頭上に掲げた。上段の構えと言われる攻撃に特化した構えだ。その切っ先に今持てる全ての妖力を集中させていく。
「ダリ・・・」
綾音が心配そうに声を上げる中、御池がジリジリと後ずさる。少しでも距離を取らなければいけないと分かっているからだ。
「下がるぞ!」
「あ・・・うん・・・」
言われて綾音も手にした弓をギュッと握りしめ、渋々ながら後ろ歩きに歩く。少しでも力になりたい、なんとか手伝えることはないか・・・そう思っているようにも見えた。
ぼんやりとしている綾音に御池が再び鋭い声を上げる。普段のおっとりとした様子から想像しにくい言い回しだったが、事態がそれほど切迫していることを表していた。
事実、御池は焦っていた。水霊の盾は、簡易に張り巡らせる結界としては通常の陰陽師たちが使う『五公クラス』の結界よりもよほど優秀であるが、その強度はせいぜいよくて『七星辰クラス』だ。結界術のプロフェッショナルである大鹿島が張り巡らせる事ができる『四神クラス』には遠く及ばない。
しかも、報告によれば八握剣は五段目の発動の余波ですら大鹿島の張った四神クラスの結界『玄武盤石厳界』を砕いてしまっているのだ。
――このままじゃ、こちらの身も危ない・・・
それが御池の判断だった。かと言って、踵を返して今から森の中に逃げ込んで間に合うとも思えない。今の時点ですでに、結界の外は地獄のような猛火に包まれているのだ。
立ち止まることも許されない。さりとて引き返すこともできない・・・。
もうひとつのアイデアが実は御池にはあったのだが、それを使ってしまうことは、綾音の死に直結する可能性を示唆していた。
――どうしよう
周囲には陰陽師たちも多くいる。近くはないとは言え、人里もある。野放図に力を放つことを許せば、一体何人の人間が巻き添えになるかわからない。
ならば、ここで抑え込むよりほかない・・・っ!
高熱を含んだ強風の中、ダリは槍を高らかに頭上に掲げた。上段の構えと言われる攻撃に特化した構えだ。その切っ先に今持てる全ての妖力を集中させていく。
「ダリ・・・」
綾音が心配そうに声を上げる中、御池がジリジリと後ずさる。少しでも距離を取らなければいけないと分かっているからだ。
「下がるぞ!」
「あ・・・うん・・・」
言われて綾音も手にした弓をギュッと握りしめ、渋々ながら後ろ歩きに歩く。少しでも力になりたい、なんとか手伝えることはないか・・・そう思っているようにも見えた。
ぼんやりとしている綾音に御池が再び鋭い声を上げる。普段のおっとりとした様子から想像しにくい言い回しだったが、事態がそれほど切迫していることを表していた。
事実、御池は焦っていた。水霊の盾は、簡易に張り巡らせる結界としては通常の陰陽師たちが使う『五公クラス』の結界よりもよほど優秀であるが、その強度はせいぜいよくて『七星辰クラス』だ。結界術のプロフェッショナルである大鹿島が張り巡らせる事ができる『四神クラス』には遠く及ばない。
しかも、報告によれば八握剣は五段目の発動の余波ですら大鹿島の張った四神クラスの結界『玄武盤石厳界』を砕いてしまっているのだ。
――このままじゃ、こちらの身も危ない・・・
それが御池の判断だった。かと言って、踵を返して今から森の中に逃げ込んで間に合うとも思えない。今の時点ですでに、結界の外は地獄のような猛火に包まれているのだ。
立ち止まることも許されない。さりとて引き返すこともできない・・・。
もうひとつのアイデアが実は御池にはあったのだが、それを使ってしまうことは、綾音の死に直結する可能性を示唆していた。
――どうしよう

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