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天狐あやかし秘譚
第126章 九死一生(きゅうしいっしょう)
♡ーーーーー♡
【九死一生】ほとんど助かる見込みのない極めて危険な状況で、かろうじて助かること。
十中八九死んでたよね!?・・・みたいな。
♡ーーーーー♡
ゴウ!
激しい風が八握剣を構えたスクセを中心に周囲に吹き荒れる。そして少し遅れて剣から放たれた光に伴う超高熱があたりの木々を襲い、なぎ倒された樹木が火を吹き始める。
「こっちへ!」
悲鳴を上げた綾音を自身の後ろに引き込み、御池が懐から出した水筒の水を周囲に振りまき始める。
「霞み立ち 音悉く 凪げよ海原
吹く嵐 風逆巻きて 神漏岐(かむろぎ)よあれ!」
それは振りまかれた御神水を依り代にし、神の力を招聘し身を守る御池家に伝わる結界術。名を『水霊(みずち)の盾』と言った。
両の手を前に突き出し、御池が水霊の盾に霊力を注ぎ続ける。盾のおかげか、周囲の木々を灼き尽くすほどの熱量もほとんど背後の綾音には届くことはなかった。
「御池さん・・・」
綾音が声を上げる。その視線は、ダリに向けられていた。ダリもまた簡易結界を張っているのだろう。自らの身体の前に真っ直ぐに天魔反戈を立て、その熱波を凌いでいた。
「大丈夫です、ダリさんほどの力なら、この程度の威力を逸らすことは容易いでしょう・・・しかし・・・」
圧倒的熱源の中央には、まるで太陽を身に纏ったような白熱の光を放つスクセが八握剣を構えていた。その瞳はまっすぐにダリを見据えていた。
御池が言った言葉、『しかし・・・』の後を想像するのは難しくなかった。こう言いたかったに違いない。
『しかし、正面からぶつかったらあるいは・・・』と。
それほどの圧倒的な力を感じさせる光景だった。
「御池よ!下がっていろ」
それが証拠にダリが発した声にはいつもの余裕のようなものが欠けているように感じた。その目はじっとスクセに向けられていた。
この時、ダリは以前、黄泉平坂の前でカダマシが放った最後の技『タケミカヅチ』を思い出していた。それはは、自身の生命力のすべてを燃やし尽くし、身体が崩壊することも厭わない状態で放った正真正銘の捨て身の技。それと同じ・・・いや、それ以上の力が迸っていることを感じていた。
・・・おそらく、あの者は死ぬつもりなのだ・・・だとしたら・・・
【九死一生】ほとんど助かる見込みのない極めて危険な状況で、かろうじて助かること。
十中八九死んでたよね!?・・・みたいな。
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ゴウ!
激しい風が八握剣を構えたスクセを中心に周囲に吹き荒れる。そして少し遅れて剣から放たれた光に伴う超高熱があたりの木々を襲い、なぎ倒された樹木が火を吹き始める。
「こっちへ!」
悲鳴を上げた綾音を自身の後ろに引き込み、御池が懐から出した水筒の水を周囲に振りまき始める。
「霞み立ち 音悉く 凪げよ海原
吹く嵐 風逆巻きて 神漏岐(かむろぎ)よあれ!」
それは振りまかれた御神水を依り代にし、神の力を招聘し身を守る御池家に伝わる結界術。名を『水霊(みずち)の盾』と言った。
両の手を前に突き出し、御池が水霊の盾に霊力を注ぎ続ける。盾のおかげか、周囲の木々を灼き尽くすほどの熱量もほとんど背後の綾音には届くことはなかった。
「御池さん・・・」
綾音が声を上げる。その視線は、ダリに向けられていた。ダリもまた簡易結界を張っているのだろう。自らの身体の前に真っ直ぐに天魔反戈を立て、その熱波を凌いでいた。
「大丈夫です、ダリさんほどの力なら、この程度の威力を逸らすことは容易いでしょう・・・しかし・・・」
圧倒的熱源の中央には、まるで太陽を身に纏ったような白熱の光を放つスクセが八握剣を構えていた。その瞳はまっすぐにダリを見据えていた。
御池が言った言葉、『しかし・・・』の後を想像するのは難しくなかった。こう言いたかったに違いない。
『しかし、正面からぶつかったらあるいは・・・』と。
それほどの圧倒的な力を感じさせる光景だった。
「御池よ!下がっていろ」
それが証拠にダリが発した声にはいつもの余裕のようなものが欠けているように感じた。その目はじっとスクセに向けられていた。
この時、ダリは以前、黄泉平坂の前でカダマシが放った最後の技『タケミカヅチ』を思い出していた。それはは、自身の生命力のすべてを燃やし尽くし、身体が崩壊することも厭わない状態で放った正真正銘の捨て身の技。それと同じ・・・いや、それ以上の力が迸っていることを感じていた。
・・・おそらく、あの者は死ぬつもりなのだ・・・だとしたら・・・

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