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天狐あやかし秘譚
第121章 籠絡懐柔(ろうらくかいじゅう)
「それでも多分、丸一日つけていると衛生的ではないからね。家に帰ってきたら是永のところに行って外してもらうといい。彼女の見ている前だったら外していてもいいから。彼女がテイソウタイを清潔に保ってくれるはずだ。・・・あとはお風呂でしっかり洗っておくこと」

そして、ガウンを着た緋紅様が、テイソウタイだけをつけた私をギュッと抱きしめる。

「水無も辛いかもだけど、僕も辛いんだ・・・これは僕からの贈り物だ・・・ね。我慢、してくれるね?」

そんな言葉を聞くと、『ああ、緋紅様は私のことをとても大事に思ってくださっている』・・・そんな思いが溢れてくる。
そっと、緋紅様が指でテイソウタイをなぞった。

私は彼の胸に顔を埋めているので、その顔を見ることはできない。
だからわからなかった。彼がそこに、まるで欲しいものを手に入れた子どものような、この上もなく嬉しそうな笑顔をたたえていることを。

☆☆☆
テイソウタイ・・・次の日、スマホで調べて、それが『貞操帯』と漢字で書くことを知った。ネットの記事には、アダルトグッズなどとも書かれていたが、元来は、愛する人が自分以外の人と交わることを防ぐためのもの・・・ということだった。

つまり、これは今まで私が緋紅様につけてもらっていたローターと似たような意味を持っているんだなと私は解釈した。『ずっと僕を感じていてほしい』そういう意味だと。

それは確かに成功していた。

朝、自室で着替えているときも、学校で授業を受けているときも、昼休みにお弁当を食べているときも、いつも私の意識は貞操帯に向かっていた。

貞操帯を装着して最初の日の昼休み、初めて貞操帯越しに排尿した時には、なんだか自分が特別に緋紅様に愛されている存在なんだという思いが湧いてきて嬉しくなった。そして、授業を終え、水有とおしゃべりしながら、島津の車で『屋敷』に戻る。

『屋敷』では是永という女性の従者が私だけを別室に連れて行ってくれて、貞操帯をすぐに外してくれた。ただし、貞操帯を外している時は、トイレに行くのも是永の監視のもとになってしまう。ひとりで行きたい場合はやっぱり貞操帯をつけられてしまった。
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