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天狐あやかし秘譚
第120章 十網九罠(じゅうもうきゅうわ)
「水無・・・どうした?なにかあったの?」
声をかけられる。私は頭を振ったがやっぱり身体は震えていた。
彼はそっと手を離して若干距離を取ってくれた。そうされてやっと体の緊張が解ける。
「ごめんなさい・・・」
謝るしかなかった。緋紅は何も悪くない。悪いのは全部、私なのだ。いたたまれなかった私は一刻も早くここを離れたくて、踵を返した。そんな私を緋紅が呼び止める。
「水無・・・なにか苦しんでるみたいだね・・・。もし僕で良かったら相談に乗るよ。・・・後で・・・うん、水無が眠ったら僕の部屋においで。」
緋紅の顔はどこまでも穏やかで、優しかった。
よく見ると、父のあの淫らな悪魔のような目のギラつきもなければ、母に向けた鬼のような形相の片鱗もなかった。
「ね?・・・ひとりで悩んじゃだめだよ・・・僕らは家族なんだし」
家族・・・。その言葉に、胸がざわつく。どう答えていいかわからなくなった。しかし、何も言わないわけにはいかなかった私は、このとき結局、ゆっくりと頷いてしまったのだった。
声をかけられる。私は頭を振ったがやっぱり身体は震えていた。
彼はそっと手を離して若干距離を取ってくれた。そうされてやっと体の緊張が解ける。
「ごめんなさい・・・」
謝るしかなかった。緋紅は何も悪くない。悪いのは全部、私なのだ。いたたまれなかった私は一刻も早くここを離れたくて、踵を返した。そんな私を緋紅が呼び止める。
「水無・・・なにか苦しんでるみたいだね・・・。もし僕で良かったら相談に乗るよ。・・・後で・・・うん、水無が眠ったら僕の部屋においで。」
緋紅の顔はどこまでも穏やかで、優しかった。
よく見ると、父のあの淫らな悪魔のような目のギラつきもなければ、母に向けた鬼のような形相の片鱗もなかった。
「ね?・・・ひとりで悩んじゃだめだよ・・・僕らは家族なんだし」
家族・・・。その言葉に、胸がざわつく。どう答えていいかわからなくなった。しかし、何も言わないわけにはいかなかった私は、このとき結局、ゆっくりと頷いてしまったのだった。

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