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天狐あやかし秘譚
第120章 十網九罠(じゅうもうきゅうわ)
食事が終わり、水有はお風呂に入りたいと言って、さっさと『パーティルーム』をあとにした。私は先程のことが気にかかっていたので、立ち止まって緋紅の方に向き直る。せめてもという気持ちで、ペコリと頭を下げて『ありがとうございます・・・私もとても楽しみです』と告げるためだった。
しかし、やっぱりちょっとオドオドしていたのだろう、そこに何かを感じたらしい緋紅が少し眉根を寄せた。
「水無は・・・ここの生活・・・窮屈だったりする?なにか苦痛なことがあるのかい?」
そう声をかけられたが、私はブンブンと頭を振る。
そういうわけじゃない。
「緋紅さんは私たちにすごく良くしてくださって・・・感謝してもしきれません・・・。ただ・・・」
「ただ?」
この先の言葉はどう言っていいかわからなかった。
何を言ったとしても、緋紅に失礼になる気がしたからだ。
「いいえ・・・何でもありません。あの・・・今日もありがとうございました。水有が本当に喜んでいて・・・私も嬉しいです」
「そうか・・・水無は、水有のことをとても大事に思ってるんだね」
すっと、緋紅が私の方に手を置いた。
その瞬間、その手の感触に、女の人にはない肉厚さと体温を感じてしまった。途端に私の脳裏に、父とのことが駆け巡った。
ビクッ!!
身体が予想以上に強く反応する。もう少しで身を翻してしまうところだったのをなんとか堪えた。
しかし、やっぱりちょっとオドオドしていたのだろう、そこに何かを感じたらしい緋紅が少し眉根を寄せた。
「水無は・・・ここの生活・・・窮屈だったりする?なにか苦痛なことがあるのかい?」
そう声をかけられたが、私はブンブンと頭を振る。
そういうわけじゃない。
「緋紅さんは私たちにすごく良くしてくださって・・・感謝してもしきれません・・・。ただ・・・」
「ただ?」
この先の言葉はどう言っていいかわからなかった。
何を言ったとしても、緋紅に失礼になる気がしたからだ。
「いいえ・・・何でもありません。あの・・・今日もありがとうございました。水有が本当に喜んでいて・・・私も嬉しいです」
「そうか・・・水無は、水有のことをとても大事に思ってるんだね」
すっと、緋紅が私の方に手を置いた。
その瞬間、その手の感触に、女の人にはない肉厚さと体温を感じてしまった。途端に私の脳裏に、父とのことが駆け巡った。
ビクッ!!
身体が予想以上に強く反応する。もう少しで身を翻してしまうところだったのをなんとか堪えた。

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