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天狐あやかし秘譚
第120章 十網九罠(じゅうもうきゅうわ)
☆☆☆
緋紅は約束通り私たちを元の高校に通わせてくれた。
部屋に簡易キッチンはあるものの、私たちがそれを使って調理をすることはほとんどなかった。三食は『従者』と呼ばれているお手伝いさん?みたいな男の人が全て用意をしてくれるし、洗濯も洗い物籠に入れておけば年配の女性の『従者』がきれいにして部屋まで届けてくれる。
掃除も私たちが学校に行ってる間に勝手になされていた。
家というより、まるでホテルのようである。一体緋紅という人はどれだけの資産家なのだろうと不思議に思ってしまう。
また、他にも不思議というか、奇妙な事があった。私たちは自分がどこに住んでいるのかわからなかったのである。
そんなバカなと思うかもしれないが、実際にそうなのだ。
通学のときに自分たちが住んでる所がどこなのかがわかるではないかと思われそうだが、それも難しかったのだ。
私たちの通学は車での送り迎えが基本だった。私たちが朝起きて、朝食をとり、出かける準備をすると、いつも入口には黒の乗用車(さすがにここに来たときのようなリムジンではなく普通のサイズの車だ)が止まっている。そして、それに乗り込むと山道をクネクネと走っている間にいつの間にか見知った市街地に出ていて学校に到着する・・・という感じなのだ。なぜかわからないが、道順を必死で覚えようとしても途中でわけがわからなくなる。結局、何度行き来しても、私には自分たちが学校から見てどっちの方向に住んでいるのかすら知ることができなかった。
一度、運転手は最初にリムジンの運転をしてくれていた大男・・・島津というらしいが・・・に『屋敷』の住所を聞いたことがあったが、黙って首を振るばかりで教えてくれなかった。
部屋ではパソコンやタブレットなんかも使えるので、それで地図アプリを立ち上げてみるのだが、『現在地』がどういうわけかわからない。京都府一面に大きな丸が出てきて『あなたはこのあたりにいます』という表示が出るばかりだった。
「何してるの?お姉ちゃん」
水有が私がいじっていたタブレットをひょいと覗き込んでくる。水有にもここがどこかよくわからないのが不思議だ、と言ってみたが、あまり興味がない様子の水有は『森の中だからGPS効かないだけじゃない?』と言うだけだった。
緋紅は約束通り私たちを元の高校に通わせてくれた。
部屋に簡易キッチンはあるものの、私たちがそれを使って調理をすることはほとんどなかった。三食は『従者』と呼ばれているお手伝いさん?みたいな男の人が全て用意をしてくれるし、洗濯も洗い物籠に入れておけば年配の女性の『従者』がきれいにして部屋まで届けてくれる。
掃除も私たちが学校に行ってる間に勝手になされていた。
家というより、まるでホテルのようである。一体緋紅という人はどれだけの資産家なのだろうと不思議に思ってしまう。
また、他にも不思議というか、奇妙な事があった。私たちは自分がどこに住んでいるのかわからなかったのである。
そんなバカなと思うかもしれないが、実際にそうなのだ。
通学のときに自分たちが住んでる所がどこなのかがわかるではないかと思われそうだが、それも難しかったのだ。
私たちの通学は車での送り迎えが基本だった。私たちが朝起きて、朝食をとり、出かける準備をすると、いつも入口には黒の乗用車(さすがにここに来たときのようなリムジンではなく普通のサイズの車だ)が止まっている。そして、それに乗り込むと山道をクネクネと走っている間にいつの間にか見知った市街地に出ていて学校に到着する・・・という感じなのだ。なぜかわからないが、道順を必死で覚えようとしても途中でわけがわからなくなる。結局、何度行き来しても、私には自分たちが学校から見てどっちの方向に住んでいるのかすら知ることができなかった。
一度、運転手は最初にリムジンの運転をしてくれていた大男・・・島津というらしいが・・・に『屋敷』の住所を聞いたことがあったが、黙って首を振るばかりで教えてくれなかった。
部屋ではパソコンやタブレットなんかも使えるので、それで地図アプリを立ち上げてみるのだが、『現在地』がどういうわけかわからない。京都府一面に大きな丸が出てきて『あなたはこのあたりにいます』という表示が出るばかりだった。
「何してるの?お姉ちゃん」
水有が私がいじっていたタブレットをひょいと覗き込んでくる。水有にもここがどこかよくわからないのが不思議だ、と言ってみたが、あまり興味がない様子の水有は『森の中だからGPS効かないだけじゃない?』と言うだけだった。

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