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天狐あやかし秘譚
第120章 十網九罠(じゅうもうきゅうわ)
「なんかすごい人に拾ってもらえちゃったね」
工藤に連れられてある最中、水有がこそっと言ってくる。
用意されたのは、『部屋』というので私たちがイメージしたのとだいぶ違う感じだった。入口こそ襖だったが、その奥は八畳ほどの矩形の間で、結構大型のテレビや大きめの平机や座卓があった。
正面と左手に障子があり、右手には扉が二つと簡単なミニキッチン、冷蔵庫が据えられている。扉の向こうを確認すると、ひとつはお手洗い、ひとつはかなり立派な浴室に通じる脱衣場だった。
正面と側面の障子の向こうはほぼ同じ作りの部屋だった。それぞれ本棚、勉強机、タンスにクローゼットが置かれている。その二つの部屋にはそれぞれ、同じ部屋に通じる襖があった。一番奥に位置するその部屋は、どうやら寝室として使うためのもののようだった。
「すっご・・・」
水有が言葉を失う。ここだけで生活が完結するくらいの広さと設備だ。しかも嬉しかったのは、緋紅が私たちひとりひとりにそれぞれの部屋を用意してくれていたことだった。
「お姉ちゃん、部屋どっちがいい?」
私がなにか言う前に、水有が聞いてくる。正直言って同じ作りなので、どちらでもよかった。それでも、二人であれこれ相談し、結局、私が入って正面の部屋、水有が左手の部屋を使うことにした。
寝室にはかなり立派な布団がしまわれていた。触ってみたら綿はふかふかだし、表面の生地も光沢があって、触り心地がいい。かなりの高級品のようだった。
「寝室はお布団なんだね・・・」
ついこんなふうに言ってしまう。欲を言えば、ベッドがよかったな・・・なんて思ってしまったのは、本当に贅沢すぎることだろう。
今までの生活からすれば嘘のような高待遇である。
こんな感じで、私たちのこの不思議な『屋敷』での生活はゆっくりと幕を上げたのだった。
工藤に連れられてある最中、水有がこそっと言ってくる。
用意されたのは、『部屋』というので私たちがイメージしたのとだいぶ違う感じだった。入口こそ襖だったが、その奥は八畳ほどの矩形の間で、結構大型のテレビや大きめの平机や座卓があった。
正面と左手に障子があり、右手には扉が二つと簡単なミニキッチン、冷蔵庫が据えられている。扉の向こうを確認すると、ひとつはお手洗い、ひとつはかなり立派な浴室に通じる脱衣場だった。
正面と側面の障子の向こうはほぼ同じ作りの部屋だった。それぞれ本棚、勉強机、タンスにクローゼットが置かれている。その二つの部屋にはそれぞれ、同じ部屋に通じる襖があった。一番奥に位置するその部屋は、どうやら寝室として使うためのもののようだった。
「すっご・・・」
水有が言葉を失う。ここだけで生活が完結するくらいの広さと設備だ。しかも嬉しかったのは、緋紅が私たちひとりひとりにそれぞれの部屋を用意してくれていたことだった。
「お姉ちゃん、部屋どっちがいい?」
私がなにか言う前に、水有が聞いてくる。正直言って同じ作りなので、どちらでもよかった。それでも、二人であれこれ相談し、結局、私が入って正面の部屋、水有が左手の部屋を使うことにした。
寝室にはかなり立派な布団がしまわれていた。触ってみたら綿はふかふかだし、表面の生地も光沢があって、触り心地がいい。かなりの高級品のようだった。
「寝室はお布団なんだね・・・」
ついこんなふうに言ってしまう。欲を言えば、ベッドがよかったな・・・なんて思ってしまったのは、本当に贅沢すぎることだろう。
今までの生活からすれば嘘のような高待遇である。
こんな感じで、私たちのこの不思議な『屋敷』での生活はゆっくりと幕を上げたのだった。

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