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天狐あやかし秘譚
第119章 電光石火(でんこうせっか)
まさか・・・あの夢は、私の願望を読み取って・・・

考えれば考えるほど、夢の中の己の痴態が更に鮮明さを増して思い出されてしまう。

細くしなやかな筋肉に、太く怒張したペニス。
現実の彼女では持ち合わせない、自身が性的に興奮する要素が盛り込まれた土門の姿・・・
そんな彼女に激しい劣情を抱いて、屋外で裸になってひたすらにそのたくましい肉棒を己に受け入れることを希い続ける・・・。

「どうしたのですか?宝生前さん・・・お顔が赤いですが?」
頭の中がぐるぐるとしているところに、当の土門が無邪気に質問を重ねてくるものだから、ドギマギが止まらない。

「あ・・・いえ・・・いや・・・その」
言葉がまとまらない。あれは間違いなく自分の願望を敵方に読み取られた結果だ。そう考えるとなおさら恥ずかしさで顔から火が出そうになる。

「宝生前さん・・・なにかひどいことをされたのですか?いつものあなたらしくないのです。心配なのです!」
うるうると土門が瞳をうるませる。

・・・や、やめてください・・・杏里。
今の私はあなたに顔向けができないくらい、淫らな存在なのですから・・・。

自分の恋人のことを、あんなふうな目で見てしまっていた自分。それを見透かされて本当に胸が苦しくなるほど恥ずかしかった。

「あ・・・だ、大丈夫です。多分、身体には異常はないですから」
かろうじてやっと、これだけ言うことができた。

「身体には・・・?も、もしかして、何か精神的な攻撃をされたのですか?天狐によると、相手が宝生前さんに使った神宝は辺津鏡だそうです。心に干渉するかもしれない神宝です・・・あああっ!心配なのです!!」

ふっと画面から土門の姿が消えた。音声は生きているようで、画面の向こうで何かが派手に倒れる音や『土門様!ここで服を脱がないで!』『うるさいのです!マイダーリンの危機なのです!』とか、声が聞こえる。

一体、何が起こってるんだ?

最後に『どちらに行かれるのですか!?』という声、そして、『冴守!後は任せたのですぅぅぅぅぅぅ!!』という土門のドップラー効果の効いた声がこだました状態で、ぷつりと映像が途切れてしまった。

なにか、とても悪いことが起きてしまっているような気がする・・・。
私は、先程までとは違った意味の冷や汗が背中を流れ落ちるのを感じていた。
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