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天狐あやかし秘譚
第119章 電光石火(でんこうせっか)
ダリが見ると、宝生前がいつの間に取り出したのか、彼が扱う中で一番太くて長い石釘を自らの喉元に突きつけているのが見えた。釘の先は喉に少し突き刺さり、血が滴っていた。
「何者だ?」
辺りをうかがう。今、耳元でしたのは、まさに先程まで戦っていたスクセと同じ声色だった。だが、いくら周囲を探っても、消え入りそうなほどの微かな気配以外はなにも感じ取れず、声の主の場所は特定できなかった。
「私を探しても無駄よ天狐。うーん・・・そうね・・・あなたが次、来ていいのは明日よ。それまでにもし鞍馬の山に誰か来てごらんなさい・・・今度は御九里を殺すわ」
天狐が反応するより速く、すうっと気配が薄くなっていく。
「ああ・・・その宝生前ってのは返してあげるわ。敢闘賞ってとこね?」
気配が消えると宝生前がその手から石釘を取り落とし、糸が切れたマリオネットのように、そのまま膝から崩れ落ちた。
ふふふふふ・・・
ふふふふふ・・・
結界が消え、森に静けさが残る。
宵闇に暮れ始めた森に何者かの密やかな笑い声だけが響いていた。
「何者だ?」
辺りをうかがう。今、耳元でしたのは、まさに先程まで戦っていたスクセと同じ声色だった。だが、いくら周囲を探っても、消え入りそうなほどの微かな気配以外はなにも感じ取れず、声の主の場所は特定できなかった。
「私を探しても無駄よ天狐。うーん・・・そうね・・・あなたが次、来ていいのは明日よ。それまでにもし鞍馬の山に誰か来てごらんなさい・・・今度は御九里を殺すわ」
天狐が反応するより速く、すうっと気配が薄くなっていく。
「ああ・・・その宝生前ってのは返してあげるわ。敢闘賞ってとこね?」
気配が消えると宝生前がその手から石釘を取り落とし、糸が切れたマリオネットのように、そのまま膝から崩れ落ちた。
ふふふふふ・・・
ふふふふふ・・・
結界が消え、森に静けさが残る。
宵闇に暮れ始めた森に何者かの密やかな笑い声だけが響いていた。

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