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天狐あやかし秘譚
第119章 電光石火(でんこうせっか)
八握剣を握っていた右掌に刺すような痛みを感じ、剣を手放した。剣はたちまち闇に溶け、それがあるべき所、本来の持ち主である緋紅のところに戻っていく。
手を見ると、まるで重度のやけどをしたかのように、赤黒く爛れていた。
「死ななかっただけ、マシか・・・」
スクセがポツリと呟く。緋紅に連絡をしようと、左手でスマホを器用に取り出した。
ーすぐにでもここを離れなくては・・・。
もしかしたら、先程の爆発を聞きつけて陰陽寮の人間たちがここに押し寄せてくるかもしれない。普段であれば沖津鏡の力でいなすことは容易いが、今はその力が残っていない。鞍馬山の周囲を陰陽師たちが取り囲んでいるのは先に沖津鏡で確認済みだ。
ここから逃げ出すには、緋紅が持つ鬼道を開き、自由に行き来させることができる神宝・道返玉(ちがえしのたま)を使ってもらうのが最も確実だ。
ー緋紅さま・・・どうか、お願いを聞いてくださいませ・・・
数コールで緋紅が電話口に出た。
「緋紅さま・・・」
口にした瞬間、バチンとスマホが手の中で破裂した。耳と手に衝撃を感じ、たまらずスマホを放り投げた。
「逃がすわけには行かぬよ。ぬしの持つ神宝を持ち帰らねばならぬのでな」
その声は紛れもなく天狐のものだった。
スクセは慌てて声のする方向を見たが、そこには何もなかった。
ーどこだ?どこにいる?
「こっちじゃ・・・。ぬしの計略、ここでよく見させてもらったぞ」
その声に誘われるように視線を上に上げると、クヌギのような高い木の樹冠近く、張り出した枝の上に狩衣姿の天狐が座っていた。
天狐はそのまま無造作に飛び降りると、ふわりと音もなく地面に降り立った。いかなる方法を使ったのかわからないが、彼の足が地面につくと同時に、ドサドサっと御九里と宝生前の身体が崩れ落ちた。
「天狐!・・・なんで!?」
ここに来て初めてスクセは焦りの表情を浮かべる。
それは、スクセが先程のダリに向けて放った技以降の未来を『視ていない』ことを白状しているも同然だった。
スクセの目が忙しく動く。
手を見ると、まるで重度のやけどをしたかのように、赤黒く爛れていた。
「死ななかっただけ、マシか・・・」
スクセがポツリと呟く。緋紅に連絡をしようと、左手でスマホを器用に取り出した。
ーすぐにでもここを離れなくては・・・。
もしかしたら、先程の爆発を聞きつけて陰陽寮の人間たちがここに押し寄せてくるかもしれない。普段であれば沖津鏡の力でいなすことは容易いが、今はその力が残っていない。鞍馬山の周囲を陰陽師たちが取り囲んでいるのは先に沖津鏡で確認済みだ。
ここから逃げ出すには、緋紅が持つ鬼道を開き、自由に行き来させることができる神宝・道返玉(ちがえしのたま)を使ってもらうのが最も確実だ。
ー緋紅さま・・・どうか、お願いを聞いてくださいませ・・・
数コールで緋紅が電話口に出た。
「緋紅さま・・・」
口にした瞬間、バチンとスマホが手の中で破裂した。耳と手に衝撃を感じ、たまらずスマホを放り投げた。
「逃がすわけには行かぬよ。ぬしの持つ神宝を持ち帰らねばならぬのでな」
その声は紛れもなく天狐のものだった。
スクセは慌てて声のする方向を見たが、そこには何もなかった。
ーどこだ?どこにいる?
「こっちじゃ・・・。ぬしの計略、ここでよく見させてもらったぞ」
その声に誘われるように視線を上に上げると、クヌギのような高い木の樹冠近く、張り出した枝の上に狩衣姿の天狐が座っていた。
天狐はそのまま無造作に飛び降りると、ふわりと音もなく地面に降り立った。いかなる方法を使ったのかわからないが、彼の足が地面につくと同時に、ドサドサっと御九里と宝生前の身体が崩れ落ちた。
「天狐!・・・なんで!?」
ここに来て初めてスクセは焦りの表情を浮かべる。
それは、スクセが先程のダリに向けて放った技以降の未来を『視ていない』ことを白状しているも同然だった。
スクセの目が忙しく動く。

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