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天狐あやかし秘譚
第119章 電光石火(でんこうせっか)
彼女が手にしていたのは、かつて緋紅が用い、陰陽寮最強の結界術師・大鹿島雪影の『玄武盤石厳界(げんぶばんじゃくげんかい)』を軽々と打ち破り、土御門たちをあと一歩で全滅というところまで追い込んだ神宝・八握剣(やつかのつるぎ)に違いなかった。
『先手必勝じゃ』
森を駆ける影がすっと腕を横に伸ばすと、そこに古びた長槍が姿を現した。それこそ、天狐ダリが使う日本創生の力を秘めた神の武具『天魔反戈(あまのかえしのほこ)』だった。
トン、と影が地面を蹴ったと思った刹那、まだ数十メートルはあった女と影の距離が一気に縮まる。とてもじゃないけれども通常の人間では反応できるはずのない速度だった。
スウ・・・
女はまるでそこにくることが分かっていたかのようにその槍撃を躱し、身を捻って直剣の刃をダリの後頭部めがけて振り払う。
だが、ダリもまた神がかった反射神経で左に飛ぶ。そのさまを上から見ているものがいれば、ダリの身体が今まで保っていた正面方向への勢いを全く無視して左に直角に飛んだように見えただろう。それほど、その光景は物理法則に反したものだった。
「ちっ!」
女は小さく舌打ちをすると、遠心力を利用して八握剣を振り上げ、ダリに向かって振り下ろした。おそらく彼女にもともと備わっていた筋力ではそのような芸当は難しいだろうが、八握剣の神力によって使い手の筋力が増強されていることでこのような豪の者の動きが可能になっていた。
斬!
振り下ろされた剣は衝撃波を産み、あたりの木々をなぎ倒しながらダリを襲う。
「少し強いな・・・」
背後から高速で迫る衝撃波を感じ、つぶやいたダリはくるりと振り返ると、もっていた槍の石づきを地面に突き刺すようにして構えた。
「結・・・」
唱えた短い呪言によって槍を中心とした円錐状の光膜が展開する。衝撃波がその光に衝突し、左右に別れる。
土煙が収まった時、そこには傷どころか、衣ひとつ汚れていない天狐が佇んでいた。
そんな天狐が次のアクションを起こす前に、女は行動を起こしていた。
「四段目!」
八握剣が鈍く光を放つ。その光は刀身を超え、それを大きく、そして太くしていった。
『うむ・・・刀身を大きくする術か・・・』
『先手必勝じゃ』
森を駆ける影がすっと腕を横に伸ばすと、そこに古びた長槍が姿を現した。それこそ、天狐ダリが使う日本創生の力を秘めた神の武具『天魔反戈(あまのかえしのほこ)』だった。
トン、と影が地面を蹴ったと思った刹那、まだ数十メートルはあった女と影の距離が一気に縮まる。とてもじゃないけれども通常の人間では反応できるはずのない速度だった。
スウ・・・
女はまるでそこにくることが分かっていたかのようにその槍撃を躱し、身を捻って直剣の刃をダリの後頭部めがけて振り払う。
だが、ダリもまた神がかった反射神経で左に飛ぶ。そのさまを上から見ているものがいれば、ダリの身体が今まで保っていた正面方向への勢いを全く無視して左に直角に飛んだように見えただろう。それほど、その光景は物理法則に反したものだった。
「ちっ!」
女は小さく舌打ちをすると、遠心力を利用して八握剣を振り上げ、ダリに向かって振り下ろした。おそらく彼女にもともと備わっていた筋力ではそのような芸当は難しいだろうが、八握剣の神力によって使い手の筋力が増強されていることでこのような豪の者の動きが可能になっていた。
斬!
振り下ろされた剣は衝撃波を産み、あたりの木々をなぎ倒しながらダリを襲う。
「少し強いな・・・」
背後から高速で迫る衝撃波を感じ、つぶやいたダリはくるりと振り返ると、もっていた槍の石づきを地面に突き刺すようにして構えた。
「結・・・」
唱えた短い呪言によって槍を中心とした円錐状の光膜が展開する。衝撃波がその光に衝突し、左右に別れる。
土煙が収まった時、そこには傷どころか、衣ひとつ汚れていない天狐が佇んでいた。
そんな天狐が次のアクションを起こす前に、女は行動を起こしていた。
「四段目!」
八握剣が鈍く光を放つ。その光は刀身を超え、それを大きく、そして太くしていった。
『うむ・・・刀身を大きくする術か・・・』

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