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天狐あやかし秘譚
第118章 一落千丈(いちらくせんじょう)
☆☆☆
次に目を覚ましたのは病院だった。あちこちやけどをしていたけれども、命に別状はないということで、数日間の入院のあと、私は退院することになった。
刑事さんという方から色々とあの日の話を聞かれたので、私は覚えている限りのことを話した。どうやら、私は父に捕まる寸前に駆けつけた消防隊員に助けられたらしい。消防隊員は父も引き出そうとしたのだが、父はその場で自害したとのことだった。
事情聴取と事件処理が終わったのは、およそ1ヶ月後だった。
基本的にババの家以外に身寄りがなかった私たちは、この間児童養護施設に預けられることになった。児童相談所の職員と名乗る人が入れ代わり立ち代わり私たちの話を聞いてくれたり、今後のことを考えてくれたりしていたけれども、結局、遠い親戚などで私たちを預かってくれるところはなかったのである。
水有は児童養護施設のプライバシーのなさに辟易し、学校にも通えないことを嘆いていた。当然、せっかくできた男友達のところに行くこともできない。
一方、私はというと、呆然として過ごしていた。1ヶ月の間、あまりにもたくさんのことがありすぎて、頭の中の整理が追いつかない状態だった。
父に犯されたこと、
母に目撃されたこと、
私が父を家に招いてしまったこと。
そして、何より、あの不吉な鏡のこと。
それらを私は、児童養護施設の職員にも、児童相談所の職員にも言えずにいた。
事件は結局、母から離婚を切り出された父が逆上して家に侵入、祖母と叔父を殺害の上、放火し、娘である私の眼の前で母親に手をかけたということにおちついたようだった。刑事さんからは『被疑者死亡で送致された』というふうに聞いた。
そして、その時話をしてくれた刑事さんは、私たちの目の前に、二枚の鏡を置いた。
「火事場で唯一きれいに焼け残ったのがこの鏡だ・・・これは君たちのものだ」
おそらくすすに汚れていた鏡を警察の人がきれいにしてくれたのだろうことは想像に固くなかった。一枚は裏が黒、もう一枚は裏が白の古代鏡だった。
水有は『こんなものもらっても・・・売ったら金になるかな?』等と言っていたが、私はそれを見て、とても複雑な気持ちになった。
次に目を覚ましたのは病院だった。あちこちやけどをしていたけれども、命に別状はないということで、数日間の入院のあと、私は退院することになった。
刑事さんという方から色々とあの日の話を聞かれたので、私は覚えている限りのことを話した。どうやら、私は父に捕まる寸前に駆けつけた消防隊員に助けられたらしい。消防隊員は父も引き出そうとしたのだが、父はその場で自害したとのことだった。
事情聴取と事件処理が終わったのは、およそ1ヶ月後だった。
基本的にババの家以外に身寄りがなかった私たちは、この間児童養護施設に預けられることになった。児童相談所の職員と名乗る人が入れ代わり立ち代わり私たちの話を聞いてくれたり、今後のことを考えてくれたりしていたけれども、結局、遠い親戚などで私たちを預かってくれるところはなかったのである。
水有は児童養護施設のプライバシーのなさに辟易し、学校にも通えないことを嘆いていた。当然、せっかくできた男友達のところに行くこともできない。
一方、私はというと、呆然として過ごしていた。1ヶ月の間、あまりにもたくさんのことがありすぎて、頭の中の整理が追いつかない状態だった。
父に犯されたこと、
母に目撃されたこと、
私が父を家に招いてしまったこと。
そして、何より、あの不吉な鏡のこと。
それらを私は、児童養護施設の職員にも、児童相談所の職員にも言えずにいた。
事件は結局、母から離婚を切り出された父が逆上して家に侵入、祖母と叔父を殺害の上、放火し、娘である私の眼の前で母親に手をかけたということにおちついたようだった。刑事さんからは『被疑者死亡で送致された』というふうに聞いた。
そして、その時話をしてくれた刑事さんは、私たちの目の前に、二枚の鏡を置いた。
「火事場で唯一きれいに焼け残ったのがこの鏡だ・・・これは君たちのものだ」
おそらくすすに汚れていた鏡を警察の人がきれいにしてくれたのだろうことは想像に固くなかった。一枚は裏が黒、もう一枚は裏が白の古代鏡だった。
水有は『こんなものもらっても・・・売ったら金になるかな?』等と言っていたが、私はそれを見て、とても複雑な気持ちになった。

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