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天狐あやかし秘譚
第113章 第113章:【第22話 件】運否天賦(うんぷてんぷ)
☆☆☆

「うわあああああっ!!!」

自分の悲鳴で目が覚めた。
はあ、はあと肩で息をする。見開かれた目からは涙が二筋、溢れていた。

全身から汗が吹き出し、身体がブルブルとわなないていた。開ききった口はカラカラに乾き、喘息患者のようなひゅーひゅーとした呼気が漏れ出ていた。

恐怖でどうにかなってしまいそうだった。
暑いのか寒いのかすらわからない。

かろうじて震える身体を抱きしめて、必死に呼吸を整えようと試みた。
その甲斐あってか、次第に身体が落ち着いてきた。

10分ほどしてやっと、自分の周囲を見る余裕ができた。

ここは・・・寝室、だ。

私、藤塚水無(ふじつか みな)・・・ここではスクセと呼ばれていると、双子の妹である藤塚水有(ふじつか みゆ)・・・ここではキヌギヌと呼ばれている・・・にあてがわれた部屋のひとつに間違いなかった。

ふすまで隔てられた和室によく似合う品の良い調度品が置かれており、二人で寝たとしても十分なゆとりがある。それは、この屋敷の中でも『神宝使い』という特権的な人間にのみ許されたものだった。

恐る恐る自身の右手側を見てみると、妹の水有がいる。
彼女は、私と同じ藤色の和装の寝間着を身に着け、すやすやと眠っているように見えた。

一卵性双生児の私たちは、こうして同じ服を身につけていると人から見分けられることはほとんどない。まだ私達がなんとか普通の暮らしをしていたころ、イタズラで入れ替わって授業を受けたことが懐かしく思い出された。

ただ、当たり前だが、家族は私たちを見分けることができた。
髪の生え際とか、目の若干の大きさの違いとか、何より性格とか、そういうところももちろんあるのだが、一番大きくてわかりやすい違いはほくろの位置だった。私は右目の下に、妹は左目の下にほくろがある。

なので、自分の右側にいる水有の目の下には、ほくろがぽつんと見えていた。

その胸元が呼吸に合わせて上下するのが見えた。
それを確認して、やっと私はホッとすることができた。

良かった・・・生きている。

そして、同時につぶやいていた。

「また、同じ夢だ・・・」

夢の内容を思い出して、私はぶるりと身体を震わせた。
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