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天狐あやかし秘譚
第112章 報仇雪恨(ほうきゅうせっこん)
☆☆☆
暗く、深い森の中。
篝火に囲まれた本陣が据えられていた。
その中央に座するのは、戦国時代の鎧に身を固めた大男・・・いや、大男の死霊である。
それが死霊とわかるのは、その首から上になにもないからである。
首無しの死霊
かつて、緋紅(ひぐれ)から『ヤギョウ』と呼ばれた化物である。
本陣に座した彼の左右には何人かの腹心と思われる者が座っていた。ヤギョウに最も近いところ、その右手に座するのはひょろりとした背の高い男・・・西園寺たちが最後に戦った興長が、そして、その対面には大武丸を内に宿した和羽がさも退屈そうに座っていた。
興長自身は、今回の作戦の首尾にやや不満を覚えていた。
日本最大の冥穴から、かつて共に戦った死霊の軍勢・・・その数2万を引き出す予定だったが、思わぬ邪魔が入り、戦力はその10分の1程度になってしまったからだ。
主に顔向けできない。そう思っていたが、意外にもヤギョウの機嫌は良かった。
頭部のない主がどのように世界を認識しているかはわからないが、目の前にいる3000騎あまりの死霊の軍勢のことは分かっているらしい。
1000年ぶりに取り戻した自身の軍勢が、彼の闘志に再び火を点けたのは間違いなかった。
血を滾らせているのが、傍から見てもよく分かる。興長自身も、気分の高揚を感じていた。
《ぐもぉお・・・》
その意味するところはすぐに目の前の軍勢全てに伝わったようだった。
それに応え、死霊たちは夜の闇をビリビリと揺らすほどの不気味な勝鬨をあげ、猛り狂った。
首無しはこう言ったのだ。
『さあ・・・都を攻め落とそうぞ・・・』と。
暗く、深い森の中。
篝火に囲まれた本陣が据えられていた。
その中央に座するのは、戦国時代の鎧に身を固めた大男・・・いや、大男の死霊である。
それが死霊とわかるのは、その首から上になにもないからである。
首無しの死霊
かつて、緋紅(ひぐれ)から『ヤギョウ』と呼ばれた化物である。
本陣に座した彼の左右には何人かの腹心と思われる者が座っていた。ヤギョウに最も近いところ、その右手に座するのはひょろりとした背の高い男・・・西園寺たちが最後に戦った興長が、そして、その対面には大武丸を内に宿した和羽がさも退屈そうに座っていた。
興長自身は、今回の作戦の首尾にやや不満を覚えていた。
日本最大の冥穴から、かつて共に戦った死霊の軍勢・・・その数2万を引き出す予定だったが、思わぬ邪魔が入り、戦力はその10分の1程度になってしまったからだ。
主に顔向けできない。そう思っていたが、意外にもヤギョウの機嫌は良かった。
頭部のない主がどのように世界を認識しているかはわからないが、目の前にいる3000騎あまりの死霊の軍勢のことは分かっているらしい。
1000年ぶりに取り戻した自身の軍勢が、彼の闘志に再び火を点けたのは間違いなかった。
血を滾らせているのが、傍から見てもよく分かる。興長自身も、気分の高揚を感じていた。
《ぐもぉお・・・》
その意味するところはすぐに目の前の軍勢全てに伝わったようだった。
それに応え、死霊たちは夜の闇をビリビリと揺らすほどの不気味な勝鬨をあげ、猛り狂った。
首無しはこう言ったのだ。
『さあ・・・都を攻め落とそうぞ・・・』と。

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