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天狐あやかし秘譚
第112章 報仇雪恨(ほうきゅうせっこん)
強がってはいるけれども、先ほどの吾嬬の殺気にあてられて全身が震えているのが丸わかりだ。僕は、色麻さんがそれ以上前に出ないように、手で制していた。
「あら、なあに?子猫ちゃんたら、そんなに必死にしがみついちゃって・・・ダーリンを取られたくないってわけ?かわいいわね・・・」
「ダ、ダーリンなんかじゃないです!西園寺様は東北支部長なんですからね!八咫烏なんて、絶対ダメです!!さっさとお帰りください!」
色麻さんとしては精一杯の威嚇の言葉だったのだろうが、吾嬬には全く通用してないようだった。彼女は余裕の表情を浮かべ、ふふっと笑ってさえ見せた。
それはさも楽しそうな・・・いや、どちらかというとちょっと妖艶な表情にも見えた。
「そうね・・・そんなに言うなら、さっさとお礼を済ませちゃいましょ」
吾嬬がスタスタとこちらに近づいてくる。背中に色麻さんを庇っている僕は、後ずさるわけにもいかず、さりとて迫ってくる吾嬬を突き飛ばすわけにもいかない。立ち往生している内に、目の前にずいと彼女の顔が近づいてきてしまい、僕は首をのけぞらせてかろうじて距離をとっている状態だった。
「い・・・一体何を!?」
声が裏返ってしまうが、そんな僕の首におもむろに腕を回すと、彼女がぐっと腕を引いてきた。必然的に僕は前のめりになってしまう。
ちゅっ♪
僕の唇に彼女のそれが軽く重なる。
何やら濃密な良い香りがして、一瞬頭が真っ白になり・・・恥ずかしながら、股間が熱く隆起さえするのを感じた。
「お礼よ・・・ふふっ・・・初心ねぇ、顔が真っ赤よ?
・・・ごちそうさま」
するりと手を解き、彼女は踵を返して歩いていく。あとには、あちこちがガチガチになった僕と色麻さんが残った。
「ああああっ!!!」
彼女が十分に離れたあと、麻痺から覚めた色麻さんが大声を上げる。
吾嬬が歩きながら手を振っていた。
「あらあら・・・子猫ちゃん自覚ないみたいね?
そんなんじゃ、ダーリン、取っちゃうわよ?」
わ・た・し・が♡
ぱちんとウィンクをして、彼女は去っていった。
これが正真正銘の最後だった。
こうして、やっとのことで後に『冥穴事案』と呼ばれた事件が、本当の意味で幕を閉じたのであった。
「あら、なあに?子猫ちゃんたら、そんなに必死にしがみついちゃって・・・ダーリンを取られたくないってわけ?かわいいわね・・・」
「ダ、ダーリンなんかじゃないです!西園寺様は東北支部長なんですからね!八咫烏なんて、絶対ダメです!!さっさとお帰りください!」
色麻さんとしては精一杯の威嚇の言葉だったのだろうが、吾嬬には全く通用してないようだった。彼女は余裕の表情を浮かべ、ふふっと笑ってさえ見せた。
それはさも楽しそうな・・・いや、どちらかというとちょっと妖艶な表情にも見えた。
「そうね・・・そんなに言うなら、さっさとお礼を済ませちゃいましょ」
吾嬬がスタスタとこちらに近づいてくる。背中に色麻さんを庇っている僕は、後ずさるわけにもいかず、さりとて迫ってくる吾嬬を突き飛ばすわけにもいかない。立ち往生している内に、目の前にずいと彼女の顔が近づいてきてしまい、僕は首をのけぞらせてかろうじて距離をとっている状態だった。
「い・・・一体何を!?」
声が裏返ってしまうが、そんな僕の首におもむろに腕を回すと、彼女がぐっと腕を引いてきた。必然的に僕は前のめりになってしまう。
ちゅっ♪
僕の唇に彼女のそれが軽く重なる。
何やら濃密な良い香りがして、一瞬頭が真っ白になり・・・恥ずかしながら、股間が熱く隆起さえするのを感じた。
「お礼よ・・・ふふっ・・・初心ねぇ、顔が真っ赤よ?
・・・ごちそうさま」
するりと手を解き、彼女は踵を返して歩いていく。あとには、あちこちがガチガチになった僕と色麻さんが残った。
「ああああっ!!!」
彼女が十分に離れたあと、麻痺から覚めた色麻さんが大声を上げる。
吾嬬が歩きながら手を振っていた。
「あらあら・・・子猫ちゃん自覚ないみたいね?
そんなんじゃ、ダーリン、取っちゃうわよ?」
わ・た・し・が♡
ぱちんとウィンクをして、彼女は去っていった。
これが正真正銘の最後だった。
こうして、やっとのことで後に『冥穴事案』と呼ばれた事件が、本当の意味で幕を閉じたのであった。

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