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天狐あやかし秘譚
第112章 報仇雪恨(ほうきゅうせっこん)
実際、朔弥は、自分が勝ったとしても他の兄弟を追い出すつもりはなかったらしい。実際には失踪した和羽や自分を陥れようとした時弥を再び会社に迎え入れるのは無理だとしても、和弥は会社に残すよう考えているとのことだった。もし遺言の問題があるなら、和弥を養子にすることも辞さないと言っていた。
「随分、兄弟思いなんやな・・・」
おそらくこれでこれまで引き継がれてきた大武家の悲劇はこの朔弥の代で終焉を迎えるだろうと予測できた。それはそれで良い結末だったと言える。
ただ・・・
「その、秘書の吾嬬ってのが八咫烏だったと?・・・大武丸を追ってたんやなあ」
口ぶりからすると、名目上は八咫烏を傘下に収めている陰陽部門の部門長を務めている土御門すら、八咫烏の動きをすべて把握してはいないことがうかがえる。ただ、大武丸の名は知ってはいるようだった。
「はい・・・。時弥が捕まったあと、吾嬬は会社に辞表を出したようです。
その・・・吾嬬・・・さんは朔弥さんと・・・ふ、不倫関係にあったみたいで・・・」
「ああ、八咫烏がよう使う手や。・・・まあ、利用された朔弥はんには申し訳ないけどな」
そうなのだ、結局朔弥が最も影響力があると踏んだ吾嬬は、近づくために秘書として潜り込むだけではなく、肉体関係を持ってより深い情報を得ようとしたのだ。
しかし、朔弥は吾嬬が求めていた大武丸の情報を持っていなかったのである。大武家に鬼がいる、ということまでは分かっていた吾嬬はそれを探し続けていたようだった。なかなか尻尾を掴ませない鬼が現れたのがあの冥穴事件だったというわけだ。
なので吾嬬はその鬼こそが大武丸ではないかと一縷の望みをかけて、僕らの捜査を手助けしていたわけだが、結果的には時弥が内に秘めていた鬼は大武丸ではなく、時弥自身も大武丸の所在を知らなかったことから一旦捜査を打ち切りにしたらしい。
あの鬼と化した時弥が病院から逃げようとした時、吾嬬が最後に蹴りをくれたのは、大武丸を発見できなかったことに対する苛立ちからの八つ当たりだったわけだ。
「朔弥さんは、吾嬬さんが突然辞表を出したことで相当参っていたみたいです。それでも今は立派に家督を継いで頑張ってますが・・・」
「随分、兄弟思いなんやな・・・」
おそらくこれでこれまで引き継がれてきた大武家の悲劇はこの朔弥の代で終焉を迎えるだろうと予測できた。それはそれで良い結末だったと言える。
ただ・・・
「その、秘書の吾嬬ってのが八咫烏だったと?・・・大武丸を追ってたんやなあ」
口ぶりからすると、名目上は八咫烏を傘下に収めている陰陽部門の部門長を務めている土御門すら、八咫烏の動きをすべて把握してはいないことがうかがえる。ただ、大武丸の名は知ってはいるようだった。
「はい・・・。時弥が捕まったあと、吾嬬は会社に辞表を出したようです。
その・・・吾嬬・・・さんは朔弥さんと・・・ふ、不倫関係にあったみたいで・・・」
「ああ、八咫烏がよう使う手や。・・・まあ、利用された朔弥はんには申し訳ないけどな」
そうなのだ、結局朔弥が最も影響力があると踏んだ吾嬬は、近づくために秘書として潜り込むだけではなく、肉体関係を持ってより深い情報を得ようとしたのだ。
しかし、朔弥は吾嬬が求めていた大武丸の情報を持っていなかったのである。大武家に鬼がいる、ということまでは分かっていた吾嬬はそれを探し続けていたようだった。なかなか尻尾を掴ませない鬼が現れたのがあの冥穴事件だったというわけだ。
なので吾嬬はその鬼こそが大武丸ではないかと一縷の望みをかけて、僕らの捜査を手助けしていたわけだが、結果的には時弥が内に秘めていた鬼は大武丸ではなく、時弥自身も大武丸の所在を知らなかったことから一旦捜査を打ち切りにしたらしい。
あの鬼と化した時弥が病院から逃げようとした時、吾嬬が最後に蹴りをくれたのは、大武丸を発見できなかったことに対する苛立ちからの八つ当たりだったわけだ。
「朔弥さんは、吾嬬さんが突然辞表を出したことで相当参っていたみたいです。それでも今は立派に家督を継いで頑張ってますが・・・」

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