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天狐あやかし秘譚
第112章 報仇雪恨(ほうきゅうせっこん)
☆☆☆
【3日後、陰陽寮東北支部内会議室にて】

「んで・・・?その和羽っちゅう鬼と興長とかいう妙な術者はどないしたん?」
オンライン会議の画面越しに土御門様が、ただでさえ細い目を一層細めて問い質してくる。

「あ、え・・・っと。おそらくは黄泉から湧いた怨霊たちに紛れて逃げたものと・・・」
とにかく今の僕は反省モード全開である。
普段着慣れないスーツを着て、背筋を伸ばし、手はぐーで膝の上、ややもすると伏せてしまいそうになる顔を、必死に押し留め、画面から目を離さないようにしていた。

冷たい汗が、背中を伝う。

「怨霊どもはどのくらい出てったん?」
「・・・数百・・・いや・・・数千・・・くらいかも?」
「それもわからんのか?まあ、過ぎたもんはええわ。
 ところで、冥穴はちゃんと塞がったんやな?」

意外に優しい声で問いかけられて、僕はちょっとだけホッとした。
顔を上げて、答える。

「は、はい!それは・・・もう、カンペキに!
 祭部衆 色麻樹里さんの祭祀霊術によりしっかりと封印されています!」

これだけは自信があった。
恐山の開いた日本最大の冥穴は、幸か不幸か、一度開いた後に、最大呪力で叩いたことにより通常よりも深く封印されたのだった。あの状態から開くことはほぼありえないといっていいレベルである。

「ふーん。さよか・・・
 そいで大武家の家督争いは、結局、朔弥が継ぐことになったわけね・・・ま、これはもともとの成績から言っても妥当っちゅーこっちゃな。
 ところで、朔弥は今回の件の裏については・・・?」

『今回の件の裏』とは、相続争いというのが、自分たちを呪術の生贄として使った『蠱毒法』であり、その目的が大武丸という太古の時代から受け継がれた鬼を継承する儀式だったことなどである。

あれこれ事情聴取をしたところ、その事を知っていたのは和羽だけのようだった。時弥は大武の家が鬼憑きの家系であり、たまに鬼を宿した人間が誕生するのだということは知っていたようだが、大武丸の存在は知らなかったらしい。

大武丸の存在は、代々当主・・・つまりそれを引き継いだものだけに伝承される『秘密』だったのだ。

「朔弥は何も知らないです。例の競争は、普通に相続者を決めるためのゲームみたいなものだと考えているようでした」
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