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天狐あやかし秘譚
第112章 報仇雪恨(ほうきゅうせっこん)
僕にできることは、自らの身体を共鳴具として、彼女の呪力を増幅し、放つ・・・それだけだ。

「負ける・・・もんかぁっ!!!」

色麻さんが吠えるように叫んだ。
その瞬間、力とともに、彼女の想いが伝わってきた。

『私・・・あなたの役に立ってますか・・・?』
『先輩のくせにあなたより力がなくて・・・支えにならなくて』
『年上なのに・・・あなたを引っ張らないといけないのに』

私・・・あなたの隣にいて・・・いいですか?

・・・!

それはあたたかい『想い』だった。
いつもは心の底に押し込めていた深い『想い』。
そして、とても優しい『想い』・・・。

ああ・・・君はずっと、僕のことを見ていてくれていたんだね・・・。
だからこそ、僕に足りないものが分かっていたんだ。

やっぱりあなたは・・・色麻樹里はそういう人なんだ。
僕にない『強さ』を持っている。

『隣にいてもいい』かって?
いいに決まってる!

あなたは、いつも情けない僕を助けてくれて、
僕に欠けているものを、届けてくれて、

・・・僕に必要な人・・・なんだからっ!

この瞬間『想い』が共鳴した・・・
今まで以上に。

そして、先程よりも強い力が僕らの触れあった手のうちから溢れ出し、雷炮神器を伝って放たれた。

光の束が一層その強さを増した。
それはあたかも太陽が現れたかのようだった。
周囲は真昼のように光り輝き、高密度の光の奔流が轟音とともに冥穴を一息に貫く。

ギイィイイイイイイイイイイイン!!

ガラスが割れるような奇妙な音があたりに響き渡った。
その音に溶けるかのように、闇の軍勢の鬨の声が白い光の中に消えていった。

10秒ほどだろうか、ゆっくりと光が収束していき・・・
あとには、静寂だけが残った。

雷炮神器を持った腕から力が抜け、ぼとりと地面に落ちる。
僕を後ろから抱きしめる形になっていた色麻さんも肩で息をしていた。

触れ合った背中がなんだかしっとりしているのは、彼女もまた力を振り絞って汗だくになっていた事を示唆していた。

「お・・・終わった・・・のかしら?」
色麻さんがポツリと呟いた。
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