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天狐あやかし秘譚
第112章 報仇雪恨(ほうきゅうせっこん)
♡ーーーーー♡
【報仇雪恨】仇討ちをして恨みを晴らすこと。
お前にやられたこと、ぜってー忘れねーからなっ!みたいな。
♡ーーーーー♡
ズシン・・・
音にするとそんな感じだろうか。
一瞬にして周囲の空気が何十倍もの重さになったように感じる。
次いで起こったのは、地の底から響くような地響きだった。
いや、違う・・・地響きじゃない・・・
「「「あァアアァあアァあああぁあァァアアアァ……!!!」」」
遠くから響く声は、幾千、幾万に重なる怨霊の叫び。
そして、地響きかと紛うほどの振動は、死の国から蘇ろうとしている黄泉の軍勢が馬を駆る、その蹄が大地を削る音だった。
冥穴からあふれる圧倒的な瘴気の奔流の中、和羽は顔面を血に染めながらも岩に寄りかかって体をなんとか支えていた。さすがの鬼でも急所に呪力弾を数発食らった状態では急速な再生もままならないようだ。
激しく浅い息をつきながら、それでもその顔は醜いまでに歪み、笑っていた。
「は・・ぁ・・・は、はは・・・はっ!やった・・・
手に・・・手に入れた!ついに!!
はは、ははは・・・
兄さんたちを超えた・・・私はたどり着いたんだ!」
それきり、和羽の身体はズルリと崩れ落ちてしまう。時折びくりと身体が痙攣しているが、まだ息があるようではあった。
だが、和羽が倒れたからと言って、冥穴の解放は最早止まるものではなかった。
僕は自分の四肢がすーっと冷たくなっていくのを感じた。
先程からの無理が祟り、呪力も殆ど残っていない。
そして、仮に残っていたとしても、攻撃に特化した僕の術式では、あそこまで開ききった冥穴をどうこうすることなどできようはずがない。
そうしている間にも冥穴からは禍々しい鎧を身にまとった怨霊たちが大挙して溢れ出していく。朽ちかけた肉の合間から骨が見えているにも関わらず、目だけはギョロギョロと憎しみの炎を宿した幾百もの黄泉の軍勢。それらが骨だけの馬にまたがり次々と暗い穴から飛び出し、虚空に消えていった。
そんなこの世の終わりのような光景を、僕は呆然と眺めることしかできなかった。
どうしていいかわからない。
身体に力が入らず、あちこちがガタガタと震えているのがわかった。
『やっぱり一人で来たのは失敗だったかもしれない。』
今更ながらにそんな思いが頭をよぎる。
【報仇雪恨】仇討ちをして恨みを晴らすこと。
お前にやられたこと、ぜってー忘れねーからなっ!みたいな。
♡ーーーーー♡
ズシン・・・
音にするとそんな感じだろうか。
一瞬にして周囲の空気が何十倍もの重さになったように感じる。
次いで起こったのは、地の底から響くような地響きだった。
いや、違う・・・地響きじゃない・・・
「「「あァアアァあアァあああぁあァァアアアァ……!!!」」」
遠くから響く声は、幾千、幾万に重なる怨霊の叫び。
そして、地響きかと紛うほどの振動は、死の国から蘇ろうとしている黄泉の軍勢が馬を駆る、その蹄が大地を削る音だった。
冥穴からあふれる圧倒的な瘴気の奔流の中、和羽は顔面を血に染めながらも岩に寄りかかって体をなんとか支えていた。さすがの鬼でも急所に呪力弾を数発食らった状態では急速な再生もままならないようだ。
激しく浅い息をつきながら、それでもその顔は醜いまでに歪み、笑っていた。
「は・・ぁ・・・は、はは・・・はっ!やった・・・
手に・・・手に入れた!ついに!!
はは、ははは・・・
兄さんたちを超えた・・・私はたどり着いたんだ!」
それきり、和羽の身体はズルリと崩れ落ちてしまう。時折びくりと身体が痙攣しているが、まだ息があるようではあった。
だが、和羽が倒れたからと言って、冥穴の解放は最早止まるものではなかった。
僕は自分の四肢がすーっと冷たくなっていくのを感じた。
先程からの無理が祟り、呪力も殆ど残っていない。
そして、仮に残っていたとしても、攻撃に特化した僕の術式では、あそこまで開ききった冥穴をどうこうすることなどできようはずがない。
そうしている間にも冥穴からは禍々しい鎧を身にまとった怨霊たちが大挙して溢れ出していく。朽ちかけた肉の合間から骨が見えているにも関わらず、目だけはギョロギョロと憎しみの炎を宿した幾百もの黄泉の軍勢。それらが骨だけの馬にまたがり次々と暗い穴から飛び出し、虚空に消えていった。
そんなこの世の終わりのような光景を、僕は呆然と眺めることしかできなかった。
どうしていいかわからない。
身体に力が入らず、あちこちがガタガタと震えているのがわかった。
『やっぱり一人で来たのは失敗だったかもしれない。』
今更ながらにそんな思いが頭をよぎる。

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