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天狐あやかし秘譚
第111章 真実無妄(しんじつむもう)
でも、ここからが大変だ。
タイトではないとは言え、女性の服は身体にピッタリしている。ましてや手を使わずにポケットの中の符を取り出すとか・・・?

しょうがないので、べーっと舌を突き出してゴソゴソとポケット付近に顔を押し付ける形になる。なんとか舌をポケットの中に滑り込ませようとグニグニ動かすのだが・・・

「あっ・・・ダメっ♡そ・・・んな・・・ひゃぁ・・・んあっ♡」

色麻さんの無駄に色気のある息遣いと声が、僕の官能を刺激してくる。
僕だってやりたくてやってるわけじゃないんだから!

舌先にさっきから紙っぽいものが当たってるので、これが符だと思うんだけど・・・

「はあ、はあ・・・ああっ・・・、も・・・もう堪忍してください・・・それ以上されたら私っ!」

耐えきれなくなった色麻さんが身体をよじろうとする。その時、ちょうどガラリと石が動き大きな音がしてしまった。

「あなた達!一体何を!?」
和羽が手を突き出し、鬼気を打ち出す態勢に入る。

「なにを企んでる!?」
その隣では興長が手印を結び呪力を収束させていく。

ま、まずい!!
・・・ごめん、色麻さん!

遠慮していたら死んでしまう。
僕は色麻さんの腰の部分に顔を埋める気持ちで思いっきり顔を押し付け、一気に勝負を決めにかかる。

「きゃああっ!!!」
色麻さんが『二重の意味で』悲鳴を上げた。

直後、和羽がその手掌から淀んだ黒い気を放つ。
興長が結んだ独鈷印から雷鎚(いかづち)がほとばしる。

・・・っ!?

恐怖のあまり色麻さんの顔は引きつり、ギュッと目をつぶった。
和羽と興長の放ったエネルギーの奔流は、正確に僕らを捉え、その身体を切り裂かんと襲いかかってくる。

しかし・・・

「あれは・・・!?」
「まずい!和羽・・・」

目の前に起きた光景に、和羽と興長がそれぞれ声を上げた。

「え・・・?・・・これ・・・」
うっすら目を開いた色麻さんが、『それ』を認めて目を見開いた。

僕らと和羽たちの間に、小学生くらいの子どもサイズの式神が浮かび上がっていた。

その姿は烏帽子をかぶった白拍子・・・そのすべてが青白く光り輝いている。
顔もまたのっぺりと光り輝いており、その目と口に当たる部分にはかろうじて切れ目があり、それとわかるようになっていた。
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