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天狐あやかし秘譚
第111章 真実無妄(しんじつむもう)
☆☆☆
興長が普通の人間ではなかった事に気づかなかった自分のミスだとは思う。思ったよりも早くダメージを回復させた興長は、近くに潜んで様子を見ていた色麻に気づき、まんまとそれを人質にした、というわけだった。
今、僕と色麻さんは後ろ手に縛られた状態でゴロゴロとした石ばかりの恐山の地面に転がされている状態だった。足も縛られているのでろくに動けやしない。もちろん、雷炮神器も取り上げられ、マガジンラックを抜かれた上で遠くに投げ捨てられていた。
万事休すとはこのことだ。
速攻で殺されなかっただけでもマシだとは思うが・・・。
しかし、それにしても・・・
「なんで色麻さんがここにいるんですか!?」
「だって・・・」
「だってじゃないでしょ?僕一人で行くって言ったじゃないですか!」
「し、心配だったから!」
闇に目が慣れて来て、星明かりでもだいぶ目が利くようになってきた。そのせいで、色麻さんの目に涙が浮かんでいるのが分かってしまうだけに、ちょっと強く出にくくなる。
「それにしても大武丸って・・・」
色麻さんが再び名穴の前に陣取っている和羽に目を向ける。
「ええ、西の酒呑童子、伊勢の大嶽丸と並んで有名な伝説の鬼の一人・・・いや、一匹ですかね。確かにこの辺に伝わっている伝承にその名が出てきます。」
「じゃあ、大武家っていうのは、その大武丸を引き継いできた家系ってことですか?」
「それもただ引き継いでたわけじゃないみたいです。
代々、その家の『子』を利用して『蠱毒』を行ってきたみたいです」
「そんな・・・まさか、じゃああの相続競争で潰し合わせることそのものが儀式だった?」
「そうです。あの会社そのものが蠱毒の『箱』、4人の相続人が『虫』ってわけです。競わせ、殺し合わせ、最後に残った子が最強の鬼を受け継ぐ・・・」
「・・・だから、甚弥はあちこちに妾や愛人を作ったんですね・・・。複数の子どもがいなければこの呪法は成立しないから」
これは僕もさっきの和羽との会話でやっと理解したことだった。
代々大武家が行ってきた奇妙な相続の風習。それは自らの子どもを利用した『蠱毒法』だったのだ。一族の子どもを同じ土俵で競わせて憎しみ合わせ、増幅させた憎しみの力で鬼の力を維持する・・・いや、もしかしたら、更に強大なものにしようとさえしたのかもしれない。
興長が普通の人間ではなかった事に気づかなかった自分のミスだとは思う。思ったよりも早くダメージを回復させた興長は、近くに潜んで様子を見ていた色麻に気づき、まんまとそれを人質にした、というわけだった。
今、僕と色麻さんは後ろ手に縛られた状態でゴロゴロとした石ばかりの恐山の地面に転がされている状態だった。足も縛られているのでろくに動けやしない。もちろん、雷炮神器も取り上げられ、マガジンラックを抜かれた上で遠くに投げ捨てられていた。
万事休すとはこのことだ。
速攻で殺されなかっただけでもマシだとは思うが・・・。
しかし、それにしても・・・
「なんで色麻さんがここにいるんですか!?」
「だって・・・」
「だってじゃないでしょ?僕一人で行くって言ったじゃないですか!」
「し、心配だったから!」
闇に目が慣れて来て、星明かりでもだいぶ目が利くようになってきた。そのせいで、色麻さんの目に涙が浮かんでいるのが分かってしまうだけに、ちょっと強く出にくくなる。
「それにしても大武丸って・・・」
色麻さんが再び名穴の前に陣取っている和羽に目を向ける。
「ええ、西の酒呑童子、伊勢の大嶽丸と並んで有名な伝説の鬼の一人・・・いや、一匹ですかね。確かにこの辺に伝わっている伝承にその名が出てきます。」
「じゃあ、大武家っていうのは、その大武丸を引き継いできた家系ってことですか?」
「それもただ引き継いでたわけじゃないみたいです。
代々、その家の『子』を利用して『蠱毒』を行ってきたみたいです」
「そんな・・・まさか、じゃああの相続競争で潰し合わせることそのものが儀式だった?」
「そうです。あの会社そのものが蠱毒の『箱』、4人の相続人が『虫』ってわけです。競わせ、殺し合わせ、最後に残った子が最強の鬼を受け継ぐ・・・」
「・・・だから、甚弥はあちこちに妾や愛人を作ったんですね・・・。複数の子どもがいなければこの呪法は成立しないから」
これは僕もさっきの和羽との会話でやっと理解したことだった。
代々大武家が行ってきた奇妙な相続の風習。それは自らの子どもを利用した『蠱毒法』だったのだ。一族の子どもを同じ土俵で競わせて憎しみ合わせ、増幅させた憎しみの力で鬼の力を維持する・・・いや、もしかしたら、更に強大なものにしようとさえしたのかもしれない。

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