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天狐あやかし秘譚
第111章 真実無妄(しんじつむもう)
膨れ上がった鬼気が一気に爆発した。
その爆風は周囲の石を吹き飛ばし、西園寺はたまらず両手で顔を覆う。

「私が時弥より弱いと踏んだか?
 一人で来たのは失敗だったな、陰陽師!
 お前を殺せば、それでなんの問題もないのだから!」

ぼこん、ぼこん、ぼこんと周囲の地面が泡立ち始め、地の底から鬼の使い魔である邪鬼が立ち上がってくる。

西園寺は小さく舌打ちをし、周囲を見回す。現れた邪鬼の数は300はくだらなかった。そして、その一体一体が以前、時弥が呼び出したそれよりも強力なのは明白だった。

・・・時弥よりも本体が強い分、眷属も強力ってわけですか・・・っ!

「やめてください、和羽さん。ここで僕を殺したところで、あなたの正体はすでに陰陽寮に伝わっています。逃げることなどできません」

その言葉に鬼の顔がひどく歪んだ。
どうやら笑っているらしい。

「私は、人の生活を捨てても余りあるものをこれから手に入れるのだから。
 正体・・・?もうそんなもの、もうどうでもいいわ。
 だって、大武和羽という人の名など、今、ここで捨てるのだから!」

ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!

鬼女が・・・いや、歴史の裏舞台で代々受け継がれてきた太古の鬼『大武丸』が、闇夜に向かって咆哮を上げる。それを合図に邪鬼が一斉に西園寺に飛びかかっていった。

ババババババッ

しかし、四方八方から襲いかかる爪や牙が西園寺に届くことはなかった。
連続した破砕音、それが止んだときには、バタリバタリと邪鬼たちが倒れ、そして、その身体は闇に溶けるように消えていく。

「何っ!?」

中央には腰を落とし、身を低くした西園寺。
その手にはハンドガン・雷炮神器が握られていた。

右手に・・・そして、左手にも。

「雷炮神器・二丁拳銃・・・。
 僕も訂正させてください。
 一人で来たのは油断したからじゃありません。
 僕ひとりで・・・十分だからです」

身体を回転させながら、西園寺が次々と銃弾を放っていく。チカチカとほとばしる銃火が機械的に悪鬼を屠る彼の無表情な顔貌を闇に照らし出し続ける。

「バカな!
 ・・・いや、ヤツの武器は銃だ・・・いずれ弾切れを起こす。
 畳み掛けろ!邪鬼たちよぉ!!」
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