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天狐あやかし秘譚
第111章 真実無妄(しんじつむもう)
「あなたの場合、その準備というのが時弥を籠絡することだった・・・。
で?・・・情報とは?」
「他の兄弟と私が決定的に違ったのは、そこよ。
時弥ですら、この相続競争の本質については知らなかった」
和羽が息をついたように感じた。懐中電灯の光が男の方を照らしているので、その表情をうかがい知ることはできないが、おそらく薄く笑ったのだと西園寺は感じた。
「・・・ああ、先代の書斎・・・ですね?」
大武エレクトロンで、西園寺が迷い込んだ先代社長、大武甚弥の書斎。そこにある多くの本の中には民俗学や呪術に関するものも多くあった。
その事を思い出し、西園寺の脳裏にひとつのアイデアが閃いた。
「そうか・・・この競争はそれ自体が呪術だった・・・なるほど、私が陰陽師と知っていたあなたは、だからこそ、あの書斎から私を一刻も早く遠ざけたかった」
「そうよ。この情報を知ってるのと知らないのとでは、この相続競争はまるで違ったように見えるはずだから。これはね、大武の家の財産を受け継ぐための競争、なんて生易しいものではないのよ。参加者全員が強制的に命を賭けさせられた、この家の力を受け継ぐための祭儀・・・いやむしろ、呪詛といった方がいい」
和羽の影がすこしだけうつむいた。男のほうが動かない様子なのを確認し、西園寺が懐中電灯の光を和羽に向けた。しかし、その前髪が顔に落ち、影を作って彼女の表情は隠れて見えなかった。
「さっきあなた、私を見て『鬼を受け継いだのか』と言ったわね?
違うわ。
私は勝って、そして受け継いだ!」
・・・っ!
突然溢れ出した違和感に西園寺が怯む。
それが和羽の内から爆発的に立ち上った高圧の鬼気だと気づくのに一瞬の間を作ってしまった。
鬼気を胎内に孕んだ彼女の身体は見る間に膨れ上がり、4メートルを超える巨体となっていく。手足は赤黒く、太く膨れ上がり、頭からは角が伸び、顔は鬼女のそれに変貌していった。
この・・・鬼気は!?
それは時弥の放っていたそれを遥かに凌駕していた。
「時弥みたいな雑魚鬼と一緒にするな!
これぞ古より大武家に伝わる最強の鬼の力・・・
大武丸の・・・力だぁ!!」
で?・・・情報とは?」
「他の兄弟と私が決定的に違ったのは、そこよ。
時弥ですら、この相続競争の本質については知らなかった」
和羽が息をついたように感じた。懐中電灯の光が男の方を照らしているので、その表情をうかがい知ることはできないが、おそらく薄く笑ったのだと西園寺は感じた。
「・・・ああ、先代の書斎・・・ですね?」
大武エレクトロンで、西園寺が迷い込んだ先代社長、大武甚弥の書斎。そこにある多くの本の中には民俗学や呪術に関するものも多くあった。
その事を思い出し、西園寺の脳裏にひとつのアイデアが閃いた。
「そうか・・・この競争はそれ自体が呪術だった・・・なるほど、私が陰陽師と知っていたあなたは、だからこそ、あの書斎から私を一刻も早く遠ざけたかった」
「そうよ。この情報を知ってるのと知らないのとでは、この相続競争はまるで違ったように見えるはずだから。これはね、大武の家の財産を受け継ぐための競争、なんて生易しいものではないのよ。参加者全員が強制的に命を賭けさせられた、この家の力を受け継ぐための祭儀・・・いやむしろ、呪詛といった方がいい」
和羽の影がすこしだけうつむいた。男のほうが動かない様子なのを確認し、西園寺が懐中電灯の光を和羽に向けた。しかし、その前髪が顔に落ち、影を作って彼女の表情は隠れて見えなかった。
「さっきあなた、私を見て『鬼を受け継いだのか』と言ったわね?
違うわ。
私は勝って、そして受け継いだ!」
・・・っ!
突然溢れ出した違和感に西園寺が怯む。
それが和羽の内から爆発的に立ち上った高圧の鬼気だと気づくのに一瞬の間を作ってしまった。
鬼気を胎内に孕んだ彼女の身体は見る間に膨れ上がり、4メートルを超える巨体となっていく。手足は赤黒く、太く膨れ上がり、頭からは角が伸び、顔は鬼女のそれに変貌していった。
この・・・鬼気は!?
それは時弥の放っていたそれを遥かに凌駕していた。
「時弥みたいな雑魚鬼と一緒にするな!
これぞ古より大武家に伝わる最強の鬼の力・・・
大武丸の・・・力だぁ!!」

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