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天狐あやかし秘譚
第111章 真実無妄(しんじつむもう)
「やはり僕の正体にも気づいていたんですね。
 たしかに一旦は帰りました。・・・でもね、おかしいと気づいたのです。
 あまりにもすべてがあなたにとって都合良く運びすぎている。
 確証はなかった。・・・本当に小さな違和感だったんです。
 でも、戻ってきてよかったです。
 そして、あなたもあの夜・・・ここにいた、そうですね?」
「ええ、いたわ。
 時弥が私に隠れてこそこそと何をしようとしているのか、興味があったから。」
「あなたはもとから自分と同じように時弥も鬼を宿していることを知っていた・・・。
 でも、おそらく時弥の方が力が強かったかなにかだったのでしょう。
 そのままでは相続競争に勝てない。
 だからあなたは一計を案じたんだ。
 時弥に取り入って、和弥と朔弥を殺させ、そして、最後にすべてをかっさらう・・・そんな計画を立てていたのではないでしょうか。
 ・・・でも、ここに来て、僕たちと鬼になった時弥が戦うのを見て、プラン変更をしたんじゃないですか?」

ふふ、と和羽は笑った。

「そうね・・・最初は時弥が計画を成就させた後に、彼を殺す算段だった。でも一番いいのは、自分が手を汚さないことでしょ?・・・あなた達が時弥を調伏してくれる。それが一番いいシナリオだったのよ」
「あの夜、僕を大武エレクトロンに誘い込んだのはあなたですね?」
「ご明察・・・だって、あなた、道に迷っちゃうんですもん」

「まあ、いいでしょう・・・とにかく今、あなたは明らかに冥穴に向かって呪力行使をしようとした。・・・あなたがた二人、呪的構造物使用規制法違反の現行犯です。・・・大人しく、捕まってください」

いつの間にか西園寺の手にはハンドガン・雷炮神器が握られていた。その照準はピタリと和羽に向けられている。

「そちらの男性も・・・動かないで」
ジリっと和羽の隣にいた男が身じろぎをしたのに反応し、西園寺が懐中電灯の光をそちらに向ける。

「ひとつ訂正をしていいかしら?」
「なんでしょうか?」
「ビジネスの世界はね、常に先を見通す人が勝つのよ。
 変化する事象に柔軟に対応するためには、情報とそして準備が大事」
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