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天狐あやかし秘譚
第110章 機略縦横(きりゃくじゅうおう)
名を呼ばれた鬼は、呻き声を上げて声のする方を向こうとする。術で拘束された身体はぎりぎりと悲鳴を上げる。それでも歯を食いしばり、なんとか顔を向けると、そこに立つ薄緑のポロシャツと、白いチノパン姿の男が目に映った。
「き・・・さま・・・西園寺ぃ!!」
恐山で自らの四肢を撃ち抜いた拳銃使いの陰陽師。そして、しつこく大武エレクトロンまで乗り込んできて、自分の周囲を嗅ぎ周り、すべての計画を邪魔してきた張本人・・・。
なぜこいつが、ここにいる!
犯人役である和弥を逮捕して、満足したはずではなかったのか!?
そう思い、時弥はぎりりと歯ぎしりをする。今度こそ殺してやる、そう思い力を振るおうとするが、全くそれができないことにやっと気づいた。
力を振るうどころか足を動かすこともままならない。
一体自分に何が起こっているのか、理解ができていなかった。
「準備時間さえあれば、祭祀霊術は無敵です!」
ぴょこんと西園寺の背後から、弓を持った巫女服姿の女が現れる。
それを見て思い出した。刑事として乗り込んできた西園寺の横にいた、ちょこまかした女。あいつはあの時、恐山で冥穴を開くのを邪魔した術を使っていたあの巫女だったのだ!
「もしかして、『なんでお前がここにいる?』って思ってます?
昼、確かに僕は言いましたからね?
『和弥に移送の話をした』・・・って
でもね、あれ、嘘なんです」
「なっ・・・!」
「でも、和弥は今晩ここに来た。
移送のことはあなたにしか言ってないのに・・・。
・・・それでね、和弥さんの身体調べましたよ。
随分わかりにくいところにつけましたね、印・・・
心臓の裏ですか・・・探すの苦労しました。」
にこっと西園寺が笑った。
「でもね、そんなのなくても僕、
端からあなたを疑ってたんです。
それが鬼の印を見て確信に変わった。
やっぱり、あなたが鬼だったって」
「端から・・・って。
バカな・・・鬼の気配は消していたはず・・・」
「ええ、擬態はカンペキでした。
でもね、おかしいことがあったんです」
時弥が、がああっ!と声を上げ、身じろぎをしようとする。
しかし、それも無益だった。
ビイイィイン
「き・・・さま・・・西園寺ぃ!!」
恐山で自らの四肢を撃ち抜いた拳銃使いの陰陽師。そして、しつこく大武エレクトロンまで乗り込んできて、自分の周囲を嗅ぎ周り、すべての計画を邪魔してきた張本人・・・。
なぜこいつが、ここにいる!
犯人役である和弥を逮捕して、満足したはずではなかったのか!?
そう思い、時弥はぎりりと歯ぎしりをする。今度こそ殺してやる、そう思い力を振るおうとするが、全くそれができないことにやっと気づいた。
力を振るうどころか足を動かすこともままならない。
一体自分に何が起こっているのか、理解ができていなかった。
「準備時間さえあれば、祭祀霊術は無敵です!」
ぴょこんと西園寺の背後から、弓を持った巫女服姿の女が現れる。
それを見て思い出した。刑事として乗り込んできた西園寺の横にいた、ちょこまかした女。あいつはあの時、恐山で冥穴を開くのを邪魔した術を使っていたあの巫女だったのだ!
「もしかして、『なんでお前がここにいる?』って思ってます?
昼、確かに僕は言いましたからね?
『和弥に移送の話をした』・・・って
でもね、あれ、嘘なんです」
「なっ・・・!」
「でも、和弥は今晩ここに来た。
移送のことはあなたにしか言ってないのに・・・。
・・・それでね、和弥さんの身体調べましたよ。
随分わかりにくいところにつけましたね、印・・・
心臓の裏ですか・・・探すの苦労しました。」
にこっと西園寺が笑った。
「でもね、そんなのなくても僕、
端からあなたを疑ってたんです。
それが鬼の印を見て確信に変わった。
やっぱり、あなたが鬼だったって」
「端から・・・って。
バカな・・・鬼の気配は消していたはず・・・」
「ええ、擬態はカンペキでした。
でもね、おかしいことがあったんです」
時弥が、がああっ!と声を上げ、身じろぎをしようとする。
しかし、それも無益だった。
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