この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第110章 機略縦横(きりゃくじゅうおう)
405号室前に到着する。部屋番号を確認して軽くノックをしようとしたとき、木島の背筋がゾワッと粟立った。
『何!?』
寒気とも怖気ともつかない奇妙な感覚に、扉を開こうとした手が止まる。
一瞬、助けを求めるように警察官の方を見てしまう。
しかし、彼らは微動だにしていない。
『気の・・・せいかしら?』
そう思った時、廊下に響く足音を木島の耳が捉えた。
カツーン、カツーン
自分が今、来た方向・・・つまりエレベーターホールの方からだ。
エレベーターが到着したような音はしなかった。
それでも足音はする。
カツーン、カツーン、カツーン
革靴が床を叩く音。
静かに、一定のリズムで。
それ自体がおかしいわけではない。
でも、そこにまとわりつく気配が、奇妙なまでに自分をゾクゾクとさせる。
『なにか・・・来る・・・』
きっと、見たら単に医師のひとりが様子を見に来ただけとか、そういうオチだ、そうに決まってる。そんなふうに自分に言い聞かせ、木島はゆっくりと音のする方に顔を向けた。
そこにいたのは、だらりと両手を下げた大柄な男だった。
白衣を着てるわけでもない、警察官の制服でもない。そして、この時間なので面会の人間でもない。
廊下は薄明かりがついているのに、逆光みたいになっているのだろうか?その男は、なにかくろぐろとした影のように見えた。
そして、だらりと垂らした右手に、何かを持っているのが見える。
「きゃあっ!」
それが『拳銃』であることがわかり、先程の話を思い出して木島は悲鳴を上げていた。
木島の悲鳴に触発されたのか、影がその銃を構え、木島の方に向ける。
ドゴオォン!
ものすごい音がして、恐怖のあまり木島は目をつむってしゃがみ込んでしまう。もちろん、木島は銃で撃たれたことなどない。それどころか間近で発砲された経験もなかった。でも、この音が、銃声だということは本能的に理解した。
『私、撃たれた!?』
そう思った。バタバタと背後から足音がする。警察官がきてくれている。そう思った。奇妙なことに痛みはない。でも、あまりに強い衝撃はすぐに脳が感知しないこともある、ということを木島は知識として知っていた。
「大丈夫ですか?」
『何!?』
寒気とも怖気ともつかない奇妙な感覚に、扉を開こうとした手が止まる。
一瞬、助けを求めるように警察官の方を見てしまう。
しかし、彼らは微動だにしていない。
『気の・・・せいかしら?』
そう思った時、廊下に響く足音を木島の耳が捉えた。
カツーン、カツーン
自分が今、来た方向・・・つまりエレベーターホールの方からだ。
エレベーターが到着したような音はしなかった。
それでも足音はする。
カツーン、カツーン、カツーン
革靴が床を叩く音。
静かに、一定のリズムで。
それ自体がおかしいわけではない。
でも、そこにまとわりつく気配が、奇妙なまでに自分をゾクゾクとさせる。
『なにか・・・来る・・・』
きっと、見たら単に医師のひとりが様子を見に来ただけとか、そういうオチだ、そうに決まってる。そんなふうに自分に言い聞かせ、木島はゆっくりと音のする方に顔を向けた。
そこにいたのは、だらりと両手を下げた大柄な男だった。
白衣を着てるわけでもない、警察官の制服でもない。そして、この時間なので面会の人間でもない。
廊下は薄明かりがついているのに、逆光みたいになっているのだろうか?その男は、なにかくろぐろとした影のように見えた。
そして、だらりと垂らした右手に、何かを持っているのが見える。
「きゃあっ!」
それが『拳銃』であることがわかり、先程の話を思い出して木島は悲鳴を上げていた。
木島の悲鳴に触発されたのか、影がその銃を構え、木島の方に向ける。
ドゴオォン!
ものすごい音がして、恐怖のあまり木島は目をつむってしゃがみ込んでしまう。もちろん、木島は銃で撃たれたことなどない。それどころか間近で発砲された経験もなかった。でも、この音が、銃声だということは本能的に理解した。
『私、撃たれた!?』
そう思った。バタバタと背後から足音がする。警察官がきてくれている。そう思った。奇妙なことに痛みはない。でも、あまりに強い衝撃はすぐに脳が感知しないこともある、ということを木島は知識として知っていた。
「大丈夫ですか?」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


