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天狐あやかし秘譚
第110章 機略縦横(きりゃくじゅうおう)
♡ーーーーー♡
【機略縦横】時々刻々と変化する状況に合わせ、臨機応変に策略をめぐらすこと。
問題があっても柔軟に対応しちゃうぞ・・・みたいな。
♡ーーーーー♡

ソファで寄り添い、飽きることなくキスをする。
イレギュラーがあり、警察の監視がついてしまったので、いつものようにホテルなどで会うわけにはいかないが、隙を見ればこのくらいの逢瀬は問題なくできる。

ブラインドの向こうの窓の外は斜陽が差す夕暮れの景色が広がっている。
大方、今夜で問題はすべて解決する予定だ。

本来なら、事が解決するまでコイツに会うのを我慢するべきなのかもしれないとも思う。
だけど・・・
柔らかな唇、甘い匂い、蠱惑的に濡れる瞳、チラチラと淫らに口元に覗く舌先・・・そして、何より、男のものを包み込み、うねるようにその精を貪るこの女の性器の感触が、自分の心をガッチリと掴んで離さないのだ。

こういうのを身体に溺れる、というのだろうか?

自分がよもや、たった一人の女性・・・しかも、こんな禁忌の間柄の女の身体に、これほどまで深く入れ込んでしまうとは、思ってもみなかった。

「これ・・・しゃぶらせて?・・・がちがちになってるから」
キスだけでこんなになってしまう自分。
まるで性欲の塊だった高校生の頃に戻ったかのようだ。

彼女のしなやかな指先が、股間の膨らみに触れる。
しっとりとした頬を寄せ、耳元で囁く声、
そして、自分の男性自身の形をなぞるようにねっとりと指先を這わせてくる。

ゾクゾクと、背筋が震える。
思わず腰に力が入り、じゅっと先走りが染み出てしまう。
パンツには幾重にも染みができていることだろう。

ああ・・・
コイツを最初に抱いたのはいつだっただろうか?

股間を弄られながら、舌先を絡めるような淫らなキスをする。
脳内にビチャビチャと淫猥な水音が響くようだ。

頭がぼんやりとする。
白い霧がかかったかのようにしびれていく。

ああ、そうだ・・・あの日もこんなふうだった。
そう、あれは1年前、親父の病気が分かったすぐ後だった・・・。

「もう・・・。何を考えてるの?
 ぼんやりしちゃって。
 この時間だけでも私を見てよ。
 私だけを・・・」
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