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天狐あやかし秘譚
第109章 青天霹靂(せいてんへきれき)
☆☆☆
「お!刑事さん・・・もうお帰りかい?和弥にゃ会えたか?」

和弥の聴取を終え、会社のエントランスを出ようとした矢先、時弥が声をかけてきた。
私はゲッ、と思ったが、西園寺様はスマートに会釈をしていた。

「ええ、ちょうど今、お話を終えて帰ろうとしたところです」
「作戦、どうだった?動揺してなかったか?」

作戦か・・・
私は先程、西園寺様と話し合った計画の事を思い出していた。

◯ーーーーーーーーーーー◯
和弥の聴取の途中、私のスマホが鳴るようにセットしておく手筈だった。
実際の着信がある必要はない。着信音に聞こえるアラームをセットすれば十分である。
そして私は、あたかも電話が来た、というふうを装って、その音を消して耳に当てる。

「・・・はい、はい・・・ええ、承知しました。
 西園寺に伝えればよろしいですか?・・・はい・・・
 では、まだ今は聴取中なので」

思わせぶりなセリフだ。そして、画面をタップする。
これで目の前にいる和弥には電話を切ったように見えるだろう。

『通話』の後、西園寺様がこちらをチラと見るので、私は内容について微妙な情報を漏らす。

例えばこんな具合だ。
「石川さんからです。
 明日の早朝に移送するとのことです」
「あ、そうなの?予定より早いね」
「容態が安定したからって言ってました」

そこまで話をして、はっと気づいたようなフリをする。
あたかも聞かれてはいけないことを聞かせてしまったかのような芝居をするわけだ。

「ああ、失礼しました。ちょっと本部から連絡でして」
「いえ、構いません。もう大丈夫ですか?
 ・・・えっと、今のは?」

和弥が私の方に尋ねてきても西園寺様はこちらに向かって軽く首を振る。
秘密事項だという雰囲気が伝わればいい。

「すいません・・・捜査上の機密でして」
申し訳なさそうに西園寺様が相手に頭を下げる・・・。

◯ーーーーーーーーーーー◯
こうすれば明確に伝えていないけれども情報を匂わせることができるのではないか・・・と。そんな話を和弥の聴取前に話し合っていた。
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