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天狐あやかし秘譚
第109章 青天霹靂(せいてんへきれき)
「刑事さん?もう、俺一回話したんだけど?」
ソファに座るなり背もたれに腕をかけ、足をぐいと大きく組む。
態度も横柄だ。
これでセキュリティ機器部門のトップ・・・確かに売れなさそう・・・。

「申し訳ありません。ちょっと事情が変わりましたもので・・・その・・・お聞き及びかとは思うんですけど」
「ああ、兄貴の件だろ?俺は、やってないぜ?・・・なあ、鈴本、俺、兄貴が撃たれたときどこいたっけ?」

首を大きくそらして鈴本の方を見る。
鈴本は手元のタブレットを確認して静かに答えた。

「社長代理は、朔弥様が撃たれた時間、相馬インダストリーの相馬様及び重役の方お二人と会食をなさっていました。場所は盛岡市内のホテルでございます。」

その言葉を受けて、『な?』と目を細めて見せる。

「あ、いや・・・時弥さんを疑ってるわけではないのです。
 どちらかというと、捜査に協力していただければと思いまして・・・」
「協力?」
「ええ、端的に言えば、朔弥さんを狙う人に心当たりは?ということなんですけど」

そのセリフが終わらない内に時弥が大声を上げて笑い始める。

「んなの、和弥に決まってるだろ」
「和弥さん?」
西園寺様が問い返す。あたかも、その可能性に思い至ってなかった、というふうを装っている。

「とぼけんなよ、・・・和羽に聞いてるだろ?うちのこと」
ニヤニヤと時弥が言う。
「ああ、相続競争のことですか?」
「今のところ、朔弥が1位、和弥が2位・・・期限はあと1ヶ月ときてる。朔弥さえいなければ・・・なんて考えるのはありそうだろ?」

自分には絶対のアリバイがあるからこその言い分だろう。
容易に兄弟を売るあたりも、人間性を疑ってしまう。

「では、時弥さんは、和弥さんが銃を持ち出して・・・と?」
「まあ、あいつもそこまでバカじゃねえだろうな。人を雇ったかなんか・・・ああ!そういやあいつ黒い噂があるぜ?聞いたことねえか?」

ここでも西園寺様は首を傾げ、さも興味ありそうな目を時弥に向ける。

「なんでー警察も知らねーのかよ。じゃあ、とびきりのネタだぜ?
 あいつな、青龍会っつー暴力団と親交があるんだよな・・・まあ、そこのやつにカネ掴ませて、ってのはあっても不思議じゃねーよな?」
「それは初耳です。そちらの線も当たってみましょう」
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