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天狐あやかし秘譚
第109章 青天霹靂(せいてんへきれき)
せっかくここで会ったのだからと、後回しにしていた吾嬬の聴取をしてしまおうということになった。西園寺様の提案で、病院のラウンジで、少し話を聞かせてもらうことになった。

面会時間の終わった病棟のラウンジは誰もおらずしんとしていた。そこにある丸テーブルを囲み、私、西園寺様、吾嬬が相対する。それぞれの手元には西園寺様が買ってきてくれた小さなペットボトルのお茶があった。

「吾嬬さんは犯人を見てないんですよね?」
「はい・・・。私は社長よりも先にレストランに到着していました。
 席を予約してあったので、その席で彼が来るのを待っていたのです。
 そうしたら外で銃声がして・・・」

これは石川刑事から報告を受けていた内容と一致する。

「秘書・・・もしくは恋人としてのあなたから見て、朔弥さんが誰かに恨まれる・・・みたいな心当たりってあります?」
「えっと・・・」

吾嬬が言い淀む。なにか思い当たる節がある、といった感じだ。
「些細なことでもいいんです。たとえば、なにか最近おかしなことがあった・・・みたいなのでも構いません」
「・・・犯人を・・・逮捕していただけますか?」
上目遣いに少し目を潤ませて、西園寺様を見つめる。
なんかこれ、女の私から見ると、何やら男に媚を売る仕草に見えてしまう。

なんか、いやらしい・・・

そんな印象だ。でも、その視線を向けられている西園寺様をチラと見るが、西園寺様はいつもの余裕のある笑みを浮かべているだけだったので、ちょっとだけ安心した。

「はい、もちろん逮捕には全力を尽くします・・・なにか、あるんですね?」
「すいません。これは我が社の恥・・・というか、もしかしたら大事になりかねないことなのですが・・・。」

吾嬬によると、今回、拳銃が使われたということで、彼女にピンとくるものがあったらしい。

「大武和弥様・・・が地元の反社・・・いわゆるヤクザとのつながりがあると噂があります。銃撃されたと聞いて、私は咄嗟にそれを思い出しました・・・」

先程の取り調べではその事に触れなかったことだそうだ。それをなぜ今更言う気になったのかはわからない。
もしかしたら、先程の朔弥との会話の中でなにかやり取りがあって心変わりをしたのかもしれない。
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