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天狐あやかし秘譚
第109章 青天霹靂(せいてんへきれき)
吾嬬はデート時の服装のままで取り調べに連行されたのだろう。ブラウンのワンピースにネイビーのジャケット、胸元に巻いたおしゃれな柄のスカーフが良いワンポイントになっている。丸っこいメガネも会社で見たものと違い、少しフレームが厚いものになっていて、彼女の愛嬌の良さを一段と引き上げていた。
上品で知的でありながらも、堅苦しくないファッション。社長秘書としてだけではなく、愛人としてもとても洗練されているように思えた。
ただ、長時間の取り調べのせいだろうか、その表情には若干の疲労の色が見てとれた。
「あ・・・君たち。その、彼女を入れてやってくれないか?」
ひょいと西園寺様が警察手帳を見せる。
ちなみに、私たちは警察官ではないが、捜査をするために宮内庁から警察庁に協力要請をすることで、一時的に警察権を与えられているのだ。そして、今の私たちは警視庁から派遣されている刑事・・・という位置づけであり、警察手帳も本物が貸与されている。
その西園寺様の手帳の効果で、警護の警察官は吾嬬と私たちを病室に入れてくれた。
「ああ・・・千鶴・・・」
外の騒ぎが聞こえていたらしく、朔弥はベッドの上で身体を起こしていた。
「今、警察官に声をかけようと思っていたのだよ・・・来てくれたんだね?」
「ええ、当然です。・・・社長、お怪我は大丈夫ですか?」
一応、『社長』と呼び、一線を引いている風ではあるが、駆け寄って包帯にそっと手を触れる仕草、朔弥に向ける視線は秘書のそれではないのは歴然である。
それはまさに愛する人を心配する女の眼差しだった。
「刑事さん、千鶴を入れてくれてありがとう。
・・・済まないが少し、二人きりにしてもらえないだろうか?」
朔弥がこちらに目を向けてきた。
もう、この時点で彼らの不倫関係が表沙汰になっていることは、二人とも承知しているのだろう。もう隠しもしないということらしい。
西園寺様はそれを了承し、私たちは一旦退室することになった。私としては、吾嬬が犯人である可能性だってゼロじゃないんだからと思ったのだけれども、それを西園寺様に言ったら『ミステリー小説の読みすぎだよ』と軽く笑われてしまった。
そして、実際、私の懸念はどうやら杞憂だったようで、20分ほどして吾嬬は普通に病室から出てきた。もちろん、中の朔弥にも異状は見られなかった。
上品で知的でありながらも、堅苦しくないファッション。社長秘書としてだけではなく、愛人としてもとても洗練されているように思えた。
ただ、長時間の取り調べのせいだろうか、その表情には若干の疲労の色が見てとれた。
「あ・・・君たち。その、彼女を入れてやってくれないか?」
ひょいと西園寺様が警察手帳を見せる。
ちなみに、私たちは警察官ではないが、捜査をするために宮内庁から警察庁に協力要請をすることで、一時的に警察権を与えられているのだ。そして、今の私たちは警視庁から派遣されている刑事・・・という位置づけであり、警察手帳も本物が貸与されている。
その西園寺様の手帳の効果で、警護の警察官は吾嬬と私たちを病室に入れてくれた。
「ああ・・・千鶴・・・」
外の騒ぎが聞こえていたらしく、朔弥はベッドの上で身体を起こしていた。
「今、警察官に声をかけようと思っていたのだよ・・・来てくれたんだね?」
「ええ、当然です。・・・社長、お怪我は大丈夫ですか?」
一応、『社長』と呼び、一線を引いている風ではあるが、駆け寄って包帯にそっと手を触れる仕草、朔弥に向ける視線は秘書のそれではないのは歴然である。
それはまさに愛する人を心配する女の眼差しだった。
「刑事さん、千鶴を入れてくれてありがとう。
・・・済まないが少し、二人きりにしてもらえないだろうか?」
朔弥がこちらに目を向けてきた。
もう、この時点で彼らの不倫関係が表沙汰になっていることは、二人とも承知しているのだろう。もう隠しもしないということらしい。
西園寺様はそれを了承し、私たちは一旦退室することになった。私としては、吾嬬が犯人である可能性だってゼロじゃないんだからと思ったのだけれども、それを西園寺様に言ったら『ミステリー小説の読みすぎだよ』と軽く笑われてしまった。
そして、実際、私の懸念はどうやら杞憂だったようで、20分ほどして吾嬬は普通に病室から出てきた。もちろん、中の朔弥にも異状は見られなかった。

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