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天狐あやかし秘譚
第108章 匿影蔵形(とくえいぞうけい)
「ずっとこのやり方を?」
「ええ、祖父どころか、その前から・・・大武家は実際のところ、この地方の名士として1000年近くの伝統がある家なんですよ」
1000年間、常に子どもを容赦なく選別し、最も優れた者だけに家を継がせてきた家系・・・そう考えると底知れない恐ろしさを感じる。
「そうなると、争いも・・・熾烈なものになりますよね?」
カマをかけてみる。
「・・・何がおっしゃりたいの?」
「いえ、他意はないんです。庶民にはちょっと計り知れないなと・・・」
「・・・まあね。でもビジネスの世界じゃ、こんなこと日常茶飯事よ。兄弟だって親だって、同じ舞台に上がれば敵同士。うちだけが特別ってわけじゃないわ」
それに・・・と続ける。
「もう調べが付いてるんでしょうけど、私が率いている半導体部門、今のところ売上が最下位だって言いたいんでしょ?・・・それでも勝算はある。そう踏んでるわ」
もういいかしら?
そう言って立ち上がる。
カップの中の紅茶は半分も減っていなかった。
「あ・・・最後にひとつ!
最近、恐山に行ったことは?」
「ないわ・・・神頼みなんて趣味じゃないし」
じゃあ、とそのまま扉に向かっていく。扉を開き、そのまま出ていこうとしたが、ふと足を止めた。
「ああ・・・そうね。むしろ時弥兄さんの方が危ないんじゃないかしら?
セキュリティ機器部門、結構これから厳しいはずだから」
パタン、と扉が閉まる。それとともに先程まで部屋を満たしていた妙な緊張感が緩んだような気がした。
「なんつーきっつい女・・・」
ぼそっと西園寺は心の声を漏らしてしまった。
色麻が可愛らしく見える。
西園寺は、なぜかあの童顔を思い出していた。
「ええ、祖父どころか、その前から・・・大武家は実際のところ、この地方の名士として1000年近くの伝統がある家なんですよ」
1000年間、常に子どもを容赦なく選別し、最も優れた者だけに家を継がせてきた家系・・・そう考えると底知れない恐ろしさを感じる。
「そうなると、争いも・・・熾烈なものになりますよね?」
カマをかけてみる。
「・・・何がおっしゃりたいの?」
「いえ、他意はないんです。庶民にはちょっと計り知れないなと・・・」
「・・・まあね。でもビジネスの世界じゃ、こんなこと日常茶飯事よ。兄弟だって親だって、同じ舞台に上がれば敵同士。うちだけが特別ってわけじゃないわ」
それに・・・と続ける。
「もう調べが付いてるんでしょうけど、私が率いている半導体部門、今のところ売上が最下位だって言いたいんでしょ?・・・それでも勝算はある。そう踏んでるわ」
もういいかしら?
そう言って立ち上がる。
カップの中の紅茶は半分も減っていなかった。
「あ・・・最後にひとつ!
最近、恐山に行ったことは?」
「ないわ・・・神頼みなんて趣味じゃないし」
じゃあ、とそのまま扉に向かっていく。扉を開き、そのまま出ていこうとしたが、ふと足を止めた。
「ああ・・・そうね。むしろ時弥兄さんの方が危ないんじゃないかしら?
セキュリティ機器部門、結構これから厳しいはずだから」
パタン、と扉が閉まる。それとともに先程まで部屋を満たしていた妙な緊張感が緩んだような気がした。
「なんつーきっつい女・・・」
ぼそっと西園寺は心の声を漏らしてしまった。
色麻が可愛らしく見える。
西園寺は、なぜかあの童顔を思い出していた。

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