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天狐あやかし秘譚
第107章 【第21話 冥穴】居安思危(きょあんしき)
「どれ、顔をよく拝ませてもらおう・・・」
そう言いながら、西園寺様がペンライトの光で鬼の顔を捉えようとした瞬間。
「きゃあっ!」
私は悲鳴を上げてしまった。なぜなら、ブワッと真っ白い霧が立ち込め、あたりが一瞬の内に自分の鼻先すら見えない乳白色の世界に沈んだからだ。しかも、この霧・・・
「気をつけろ、何か妙なのがいるぞ!」
西園寺様が再び雷炮神器を取り出した様子が音でわかる。そうだ、この霧には薄くではあるが、奇妙な呪力を感じる。何か鬼以外のモノがいるのだ。
バキッ!バキキッ!!
何か硬質な物が割れる音がしたかと思うと、ブワリと空気の揺らぎが濃霧を巻き上げる。どうやら大きなモノが素早く動いたらしい。
これは・・・!?
「西園寺さん!」
自らの結界に異変を感じた新城が声を上げる。おそらく、起こったことにはすでにここにいる術者皆が気づいている。
「武田!結界だ。おそらく鬼が逃げた!」
武田が素早く呪言を唱え、四音結界を再び張り巡らせる。私と他の陰陽師は結界を張る武田を中心にひとところに固まり周囲を警戒した。
視界が利かない中、むやみに戦えば同士討ちもありうる。
これが、訓練で培われた視界を奪われたときの典型的な動きなのだ。
しかし・・・
ふわりとまた空気が揺れる。どうやら西園寺様が動いたようだ。
「鬼が逃げた。僕が追います!
色麻さんたちは冥穴を塞いでください!」
「ちょ!・・・西園寺様!」
私もとっさに追いかけようとしたけれども、その気配を察した新城にぐいと腕を掴まれる。確かに、今はこの霧を祓って冥穴を塞ぐことが先決ではある。
ざっざっざっざ・・・
不可視の霧の中、西園寺様が鬼を追いかける足音だけが次第に遠のいていった。
そう言いながら、西園寺様がペンライトの光で鬼の顔を捉えようとした瞬間。
「きゃあっ!」
私は悲鳴を上げてしまった。なぜなら、ブワッと真っ白い霧が立ち込め、あたりが一瞬の内に自分の鼻先すら見えない乳白色の世界に沈んだからだ。しかも、この霧・・・
「気をつけろ、何か妙なのがいるぞ!」
西園寺様が再び雷炮神器を取り出した様子が音でわかる。そうだ、この霧には薄くではあるが、奇妙な呪力を感じる。何か鬼以外のモノがいるのだ。
バキッ!バキキッ!!
何か硬質な物が割れる音がしたかと思うと、ブワリと空気の揺らぎが濃霧を巻き上げる。どうやら大きなモノが素早く動いたらしい。
これは・・・!?
「西園寺さん!」
自らの結界に異変を感じた新城が声を上げる。おそらく、起こったことにはすでにここにいる術者皆が気づいている。
「武田!結界だ。おそらく鬼が逃げた!」
武田が素早く呪言を唱え、四音結界を再び張り巡らせる。私と他の陰陽師は結界を張る武田を中心にひとところに固まり周囲を警戒した。
視界が利かない中、むやみに戦えば同士討ちもありうる。
これが、訓練で培われた視界を奪われたときの典型的な動きなのだ。
しかし・・・
ふわりとまた空気が揺れる。どうやら西園寺様が動いたようだ。
「鬼が逃げた。僕が追います!
色麻さんたちは冥穴を塞いでください!」
「ちょ!・・・西園寺様!」
私もとっさに追いかけようとしたけれども、その気配を察した新城にぐいと腕を掴まれる。確かに、今はこの霧を祓って冥穴を塞ぐことが先決ではある。
ざっざっざっざ・・・
不可視の霧の中、西園寺様が鬼を追いかける足音だけが次第に遠のいていった。

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