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天狐あやかし秘譚
第107章 【第21話 冥穴】居安思危(きょあんしき)
何かが私の上を通過し、そのまま祭壇に突っ込んだようだった。祭壇の鏡やら酒瓶やらが割れる音、そして、篝火が倒され、周囲が一瞬のうちに真っ暗になる。
御神苗の術式が破られたのだ。
「北辰・金神に至れ
日形・月形 空に満ち
金器四音奏で 金公よあれ!」
ビイィイイイイイイイン
鋭い耳鳴りのような音が周囲を包み込む。
武田の術式、『金気・四音結界』だ。超音波にも似た高周波の音律が、強烈な空間結界を生じさせる。
この術式、素早く張り巡らせることが可能でありかつ効果範囲が広い。
ただ、難点があるとすればうるさいことだ。
武田の術式によって、強烈な鬼気の主が少し怯んだ様子を見せる。その隙に何者かに殴られ気絶しかけている御神苗を、新城がズルズルと四音結界の内に引っ張り込んでいく。
「そのまま押さえていろ!武田!」
西園寺様の鋭い声が暗闇に響く。先程の衝撃で篝火が倒されてしまい、周囲で何が起こっているのかよく把握できない。どうやら西園寺様は私達の横を駆け抜け、祭壇の方に矢のように走っていっているようだった。
祭壇は・・・!?
顔を上げ、祭壇に目を向けると、暗闇の中でごそりと、何かが蠢いているのがわかった。目を凝らすと、それが巨大な人型(ひとがた)を成している事がわかる。
「なに・・・あれ・・・」
ムクリとその黒い影が起き上がる。
ヒグマというものが二本足で立ち上がると、体長が3メートルほどになるというが、おそらくそれくらいはあるだろう。普通の人間の大きさは優に超えていた。まだ月のない夜。星あかりのみではその顔貌を確認することはできなかったが、むせ返るほどの鬼気が溢れており、そこにいるモノが常識で計れるような存在ではないことを示していた。
それが天を仰いで雄叫びを上げる。
ぐぉおおおおおおおおあああおおおっ!!
ビリビリと大気が震え、鬼気がひときわ膨らみ爆発したのではないかと錯覚する。
「ダメっ!」
思わず私は叫んでいた。祭壇の方角には冥穴がある。
あんなところであれだけの鬼気を放たれたら、冥穴が割けてしまう!
御神苗の術式が破られたのだ。
「北辰・金神に至れ
日形・月形 空に満ち
金器四音奏で 金公よあれ!」
ビイィイイイイイイイン
鋭い耳鳴りのような音が周囲を包み込む。
武田の術式、『金気・四音結界』だ。超音波にも似た高周波の音律が、強烈な空間結界を生じさせる。
この術式、素早く張り巡らせることが可能でありかつ効果範囲が広い。
ただ、難点があるとすればうるさいことだ。
武田の術式によって、強烈な鬼気の主が少し怯んだ様子を見せる。その隙に何者かに殴られ気絶しかけている御神苗を、新城がズルズルと四音結界の内に引っ張り込んでいく。
「そのまま押さえていろ!武田!」
西園寺様の鋭い声が暗闇に響く。先程の衝撃で篝火が倒されてしまい、周囲で何が起こっているのかよく把握できない。どうやら西園寺様は私達の横を駆け抜け、祭壇の方に矢のように走っていっているようだった。
祭壇は・・・!?
顔を上げ、祭壇に目を向けると、暗闇の中でごそりと、何かが蠢いているのがわかった。目を凝らすと、それが巨大な人型(ひとがた)を成している事がわかる。
「なに・・・あれ・・・」
ムクリとその黒い影が起き上がる。
ヒグマというものが二本足で立ち上がると、体長が3メートルほどになるというが、おそらくそれくらいはあるだろう。普通の人間の大きさは優に超えていた。まだ月のない夜。星あかりのみではその顔貌を確認することはできなかったが、むせ返るほどの鬼気が溢れており、そこにいるモノが常識で計れるような存在ではないことを示していた。
それが天を仰いで雄叫びを上げる。
ぐぉおおおおおおおおあああおおおっ!!
ビリビリと大気が震え、鬼気がひときわ膨らみ爆発したのではないかと錯覚する。
「ダメっ!」
思わず私は叫んでいた。祭壇の方角には冥穴がある。
あんなところであれだけの鬼気を放たれたら、冥穴が割けてしまう!

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