この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第107章 【第21話 冥穴】居安思危(きょあんしき)
「続けろ!色麻!」
祭祀への集中が途切れそうになった私に鋭く西園寺様が声をかけてくる。私の背後で呪力モニターをしている高根が何やら叫んでいた。西園寺様はそれを受けて岩下に東北支部への連絡を命じている。
汗がじっとりと私の背中に滲んでくる。
何が起こっているのかよくわからない。しかし、周囲に立ち込めている気配が異様なものに変容していることだけは感じ取ることができた。
なにか・・・来たんだ・・・。
これって、鬼気・・・?
鬼気とは異形の獣の中でも特に『鬼』と呼ばれる者が放つ気配のことである。まとわりつき、喉に張り付く不快な気配だ。そして鬼気の充満に響き合うかのように、冥穴が再び膨らみ始めてしまう。
ま・・・まずい!
とっさに私は冥穴から妖魅が溢れたのではと連想したが、鬼気は冥穴の方からではなく、自分の背後から強く漂ってくる。ということは、すでに冥穴から逃げ出していた悪鬼羅刹の類が夜の帷に乗じて襲いかかってきた・・・ということだろうか?
ビイィイン、ビイィインという弦打の音が私の意識を祭祀へと引き戻す。周囲の鬼気がこころなしか薄くなった気がする。それに乗じ、私もまた、幣を振るい場を清めていく。
もう一度だっ!
「五方主呪咀君 我請い願う・・・」
おそらく鬼の眷属たる邪鬼が湧いているのだろう。あちこちから不快な鬼気が迫ってくるのを感じる。しかし、同時にバン、バン!という銃声に似た音とともに、その気配がひとつずつ弾けるように消えるのも感じていた。
・・・西園寺様?
おそらく西園寺様が何らかの術式で邪鬼を祓っているのだとわかる。
次第に周囲の鬼気が薄まっていく。
これなら・・・封印できる!
最後の力を込めて印を結び呪言を唱える。
だが、その瞬間・・・
ゾクリ
これまでとは比べ物にならないほどの冷気が背骨に真っ直ぐに突き刺さってきた。隣にいる武田と新城も同時に声を上げたところを見ると同じ気配を感じたようだった。
なにこれ!?
凄まじく強い・・・鬼気だ・・・っ!
「ぐわっ!!」
後ろでボクっという鈍い音とともに、御神苗のうめき声が聞こえる。
「武田!新城!結界を降ろせ!色麻達を守れ」
鋭い声が飛ぶ。同時に私の身体を武田が押さえつけた。
ガッシャン!!
祭祀への集中が途切れそうになった私に鋭く西園寺様が声をかけてくる。私の背後で呪力モニターをしている高根が何やら叫んでいた。西園寺様はそれを受けて岩下に東北支部への連絡を命じている。
汗がじっとりと私の背中に滲んでくる。
何が起こっているのかよくわからない。しかし、周囲に立ち込めている気配が異様なものに変容していることだけは感じ取ることができた。
なにか・・・来たんだ・・・。
これって、鬼気・・・?
鬼気とは異形の獣の中でも特に『鬼』と呼ばれる者が放つ気配のことである。まとわりつき、喉に張り付く不快な気配だ。そして鬼気の充満に響き合うかのように、冥穴が再び膨らみ始めてしまう。
ま・・・まずい!
とっさに私は冥穴から妖魅が溢れたのではと連想したが、鬼気は冥穴の方からではなく、自分の背後から強く漂ってくる。ということは、すでに冥穴から逃げ出していた悪鬼羅刹の類が夜の帷に乗じて襲いかかってきた・・・ということだろうか?
ビイィイン、ビイィインという弦打の音が私の意識を祭祀へと引き戻す。周囲の鬼気がこころなしか薄くなった気がする。それに乗じ、私もまた、幣を振るい場を清めていく。
もう一度だっ!
「五方主呪咀君 我請い願う・・・」
おそらく鬼の眷属たる邪鬼が湧いているのだろう。あちこちから不快な鬼気が迫ってくるのを感じる。しかし、同時にバン、バン!という銃声に似た音とともに、その気配がひとつずつ弾けるように消えるのも感じていた。
・・・西園寺様?
おそらく西園寺様が何らかの術式で邪鬼を祓っているのだとわかる。
次第に周囲の鬼気が薄まっていく。
これなら・・・封印できる!
最後の力を込めて印を結び呪言を唱える。
だが、その瞬間・・・
ゾクリ
これまでとは比べ物にならないほどの冷気が背骨に真っ直ぐに突き刺さってきた。隣にいる武田と新城も同時に声を上げたところを見ると同じ気配を感じたようだった。
なにこれ!?
凄まじく強い・・・鬼気だ・・・っ!
「ぐわっ!!」
後ろでボクっという鈍い音とともに、御神苗のうめき声が聞こえる。
「武田!新城!結界を降ろせ!色麻達を守れ」
鋭い声が飛ぶ。同時に私の身体を武田が押さえつけた。
ガッシャン!!

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


