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天狐あやかし秘譚
第106章 形勢逆転(けいせいぎゃくてん)
☆☆☆
「ケガ、ない?」
興奮しているかも知れないと考えた九条はことさらに笑顔を心がける。その甲斐あってか差し伸べられた手を、黒咲がゆっくりと取る。

「あ・・・あな、あなた・・・は?」
「心配しないで。僕は君の味方だ・・・。済まなかったね」

申し訳ない。そう、九条は思っていた。

確かに黒咲はストーカーで、橋本の私生活を偏執的に監視するなど、常軌を逸したところがある。しかし、彼女が橋本の家の付近をうろつき始めたのは、正にこの怪異から橋本を守るためだったのだ。

そして、今日、彼女がどうやってこの場所を割り出したのかは全くわからないし、そもそも警察に勾留されている彼女がどうしてここにいるのかも不明であるが、もし、彼女が到着するのがもう少し遅かったら、橋本は怪異に取り殺されていたかもしれない。

なので、九条は言った。

「君は、本当にあの人を守ろうとしてたんだね・・・。すまない、誤解していた。」

ぐいと黒咲を引き起こす。細身である黒咲の身体は勢い余ってしまい、そのまま九条にぎゅっと抱きつく形になってしまった。その拍子に黒咲の前髪がはらりとはだけ、その顔があらわになった。

その顔を見て、にこりと九条は笑った。

「なんだ・・・君。すごくきれいな肌してるじゃないか。顔、出した方がいいよ?」

九条にとって、これは人としての礼儀に過ぎなかった。
しかし、彼はあまりにも自分の魅力に対して無知に過ぎたと言わざるをえない。

それが証拠に、九条に腰を抱かれた黒咲は、キラキラと瞳を潤ませうっとりとした表情をしていた。

間の悪いことに、さらにこの時、とても都合の悪いことが起こった。
明咲が息を切らして昇降口から姿を現したのだ。

「九条様!怪異を捕らえ・・・」

そこで明咲は硬直する。
数m先で、九条が紗倉をひしと抱き締め、今にもキスをせんばかりの距離に顔を近づけているのを見てしまったからである。

一瞬にして彼女の視界は明滅し、普段被っていたクールな女の仮面はまたたく間に虚空の彼方にすっとんでいった。

そして、

「あ・・・・あ・・・・あああああああああっ!!!!」

マンションのフロア全体に、先程の怪異の叫びよりも数段大きな、乙女の哀切にまみれた悲鳴がこだますることになったのだった。
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