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天狐あやかし秘譚
第97章 【第19話:地狐】温慈恵和(おんじけいか)
今、何が起きているのかというと、実は、あらかじめダリが母にかけてくれた幻術の作用で、母には、この家にいる『私以外のモノ』の存在が認識しにくくなっているのである。

そう、結局、私たちは、このダリの幻術を頼りにして、今まで通りに綿貫亭に住み続けることにしたのだ。

ただ、この術は、ダリたちの存在を完全に隠すわけではないようなのだ。なんというか、目に見えにくく、声などが聞こえにくく、全体的に存在が『気づかれにくく』なるだけ、らしいのだ。矛盾というか破綻があればすぐにこの術は解けてしまうとダリに言われていた。例えば、清香ちゃんが母の手を握ったりすればダメだし、芝三郎が椅子を倒したりするみたいな大きなアクションを起こせばさすがに気づかれてしまうというわけだ。

一緒にいることは出来るし、食事とかはローテーブルで食べてもらったりもできるが、彼らにはそれなりに息を潜めておいてもらう必要がある。

だ、大丈夫かな・・・。

「しかし、綾音・・・すごい家に住んどるね。一人でこれじゃあ持て余すんやない?」
「え・・・う・・・うん。でもね、これ、社宅なんよ」
「宮内庁やろ?本当に、すごいところに就職したねえ・・・」

母からすれば、大手商社に勤めている長女の琴音、サッカーのヨーロッパリーグで一軍選手として活躍している弟の翔と比べて、いつも心配の種だった私が、安定した就職口を見つけて一安心なのだろう。しきりに『すごいねえ』を連発していた。

「お母さん、夕食まだでしょ?今、準備するけ、食べて」
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