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天狐あやかし秘譚
第97章 【第19話:地狐】温慈恵和(おんじけいか)
「だって、ダリの恋人って・・・あの、碧音って人じゃなかったの?」
我ながら、ちょっと声が普段より一段階低くなっている気がした。
ぽかんとしていた、佐那が目をパチクリさせて言った。
「はい、もちろんです!ダリ様と深い契りを交わしたのは後にも先にも、碧音殿のみ。だからこそわたくしは・・・」
「じゃあ、あんたはなんなのよ?」
その言葉に一瞬、佐那がぽかんとするが、ああ、と得心したかのような表情を見せる。
「なるほど!綾音様はわたくしがダリ様の側室か何かであると勘違いなさっておられるのですね!?ご心配召されるな。わたくしがダリ様とまぐわうのは愛ゆえではなく、修養の一環。妖力を補い強めるためでございまして、ふた心などつゆほどもございません!」
ねー?とダリに笑いかけるその笑顔・・・確かに邪気はない。ないのだけれども・・・私の女の直感が、そこに深い深い『愛情』を感じてしまう。
うう・・・なんなの・・・この胸の中がえぐられるような感覚・・・っ
「とにかく!ダリ様・・・朱音殿をお守りするためにも、早く昔のように佐那とまぐわいめされよ!さもなくば手遅れになりまする。」
言いながら佐那が着物の下紐を解こうとする。
「いや、待て、佐那・・・い、今は・・・」
「ちょっと、あんた!勝手なことを!」
そう、勝手だ。勝手に上がり込んできて、勝手にダリに抱きついて、勝手にキスをして、勝手に!!!
そう、ここにきて、私は明確に意識した。
私はこの小さな闖入者、地狐・佐那姫に・・・心から嫉妬していたのだ。
「や・・・やめて!」
ダリにしがみつき再びキスをしようとした佐那をひきはなすべく私が手を伸ばしたその時、
「あのお・・・」
ふわりと桔梗が私たちの真ん中に姿を現す。
そして、のんびりした声でこう告げたのだった。
「綿貫亭の外に、敵対的な意思を持った妖魅が・・・溢れかえっているんですけど・・・」
我ながら、ちょっと声が普段より一段階低くなっている気がした。
ぽかんとしていた、佐那が目をパチクリさせて言った。
「はい、もちろんです!ダリ様と深い契りを交わしたのは後にも先にも、碧音殿のみ。だからこそわたくしは・・・」
「じゃあ、あんたはなんなのよ?」
その言葉に一瞬、佐那がぽかんとするが、ああ、と得心したかのような表情を見せる。
「なるほど!綾音様はわたくしがダリ様の側室か何かであると勘違いなさっておられるのですね!?ご心配召されるな。わたくしがダリ様とまぐわうのは愛ゆえではなく、修養の一環。妖力を補い強めるためでございまして、ふた心などつゆほどもございません!」
ねー?とダリに笑いかけるその笑顔・・・確かに邪気はない。ないのだけれども・・・私の女の直感が、そこに深い深い『愛情』を感じてしまう。
うう・・・なんなの・・・この胸の中がえぐられるような感覚・・・っ
「とにかく!ダリ様・・・朱音殿をお守りするためにも、早く昔のように佐那とまぐわいめされよ!さもなくば手遅れになりまする。」
言いながら佐那が着物の下紐を解こうとする。
「いや、待て、佐那・・・い、今は・・・」
「ちょっと、あんた!勝手なことを!」
そう、勝手だ。勝手に上がり込んできて、勝手にダリに抱きついて、勝手にキスをして、勝手に!!!
そう、ここにきて、私は明確に意識した。
私はこの小さな闖入者、地狐・佐那姫に・・・心から嫉妬していたのだ。
「や・・・やめて!」
ダリにしがみつき再びキスをしようとした佐那をひきはなすべく私が手を伸ばしたその時、
「あのお・・・」
ふわりと桔梗が私たちの真ん中に姿を現す。
そして、のんびりした声でこう告げたのだった。
「綿貫亭の外に、敵対的な意思を持った妖魅が・・・溢れかえっているんですけど・・・」

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