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天狐あやかし秘譚
第75章 生離死絶(せいりしぜつ)

♡ーーーーー♡
【生離死絶】生きている間にも、そして死によっても、避けられない別れの悲しみ。
死による別れはこの世の常・・・ったって、耐えられないよね!?みたいな。
♡ーーーーー♡
風がひとつ過ぎたのを合図に、土御門が強烈に地面を蹴り、一飛びに距離を詰める。瞬時に横薙ぎにされた剣を緋紅がバックステップで躱した。
「水気・歳刑神紗雨刃(すいき・さいぎょうしん ささめのやいば)」
土御門と重なるようにして立っていた白髪・白髭の陰陽師、左前が唱えた呪言に呼応して、胸の前に構えた銅鏡が青く光り、幾筋もの水の刃が閃き、空間を切り裂いた。
「なんだ・・・狐はいなくても、仲間はいたのかい?人が悪いな・・・」
「悪いな、こちとら、チームプレーなんや」
緋紅が左前の水の刃を八握剣で捌いているところに、身体を半回転させ、勢いをつけた土御門の斬撃が襲う。
ギイィイン!
八握剣と将軍剣が打ち合い、呪力と神力がぶつかりあって文字通り、火花を散らした。
「へえ・・・八握剣で折れないんだ・・・なかなかいい刀だね、それ」
「へへ・・ありがとな。これでも、ご先祖さんの言いつけどおり作ってんねん・・・そうそうは、折れへん・・・で!」
土御門が刀印を結び、剣に呪力を込める。ボウと刀身が淡く白色に輝いた。
「刀身強化?なら、僕も・・・一段階目、解除だよ」
ブン、と八握剣が身動ぎをした。特に外見上の変化は見られないが、競り合っている土御門にとっては、その斬撃ひとつひとつが、先程よりも一段階も二段階も重くなったように感じられた。
ー今、こいつ、一段階目言うたな?
つまりは・・・そういうことか!
土御門が考えた通り、八握剣はその神力を8段階に分けて解き放つことができる神宝である。高い段階の力を使えばそれだけ使用者に反作用があるが、その破壊力は幾何級数的に増大していく。
ーまだまだ余力残していますっちゅうわけかい!?
土御門の脳裏に、疱瘡神のときに振るわれた八握剣の力のイメージが鮮やかに蘇る。あの時確か緋紅は『五段階目』と言っていた。フルパワーですらない力で、緋紅は、いとも容易く土御門自身及び天狐ダリの最大級の技を跳ね返し、かつ、陰陽寮における結界術の第一人者である大鹿島の誇る最硬の結界『玄武盤石厳界』の一部を砕いている。
【生離死絶】生きている間にも、そして死によっても、避けられない別れの悲しみ。
死による別れはこの世の常・・・ったって、耐えられないよね!?みたいな。
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風がひとつ過ぎたのを合図に、土御門が強烈に地面を蹴り、一飛びに距離を詰める。瞬時に横薙ぎにされた剣を緋紅がバックステップで躱した。
「水気・歳刑神紗雨刃(すいき・さいぎょうしん ささめのやいば)」
土御門と重なるようにして立っていた白髪・白髭の陰陽師、左前が唱えた呪言に呼応して、胸の前に構えた銅鏡が青く光り、幾筋もの水の刃が閃き、空間を切り裂いた。
「なんだ・・・狐はいなくても、仲間はいたのかい?人が悪いな・・・」
「悪いな、こちとら、チームプレーなんや」
緋紅が左前の水の刃を八握剣で捌いているところに、身体を半回転させ、勢いをつけた土御門の斬撃が襲う。
ギイィイン!
八握剣と将軍剣が打ち合い、呪力と神力がぶつかりあって文字通り、火花を散らした。
「へえ・・・八握剣で折れないんだ・・・なかなかいい刀だね、それ」
「へへ・・ありがとな。これでも、ご先祖さんの言いつけどおり作ってんねん・・・そうそうは、折れへん・・・で!」
土御門が刀印を結び、剣に呪力を込める。ボウと刀身が淡く白色に輝いた。
「刀身強化?なら、僕も・・・一段階目、解除だよ」
ブン、と八握剣が身動ぎをした。特に外見上の変化は見られないが、競り合っている土御門にとっては、その斬撃ひとつひとつが、先程よりも一段階も二段階も重くなったように感じられた。
ー今、こいつ、一段階目言うたな?
つまりは・・・そういうことか!
土御門が考えた通り、八握剣はその神力を8段階に分けて解き放つことができる神宝である。高い段階の力を使えばそれだけ使用者に反作用があるが、その破壊力は幾何級数的に増大していく。
ーまだまだ余力残していますっちゅうわけかい!?
土御門の脳裏に、疱瘡神のときに振るわれた八握剣の力のイメージが鮮やかに蘇る。あの時確か緋紅は『五段階目』と言っていた。フルパワーですらない力で、緋紅は、いとも容易く土御門自身及び天狐ダリの最大級の技を跳ね返し、かつ、陰陽寮における結界術の第一人者である大鹿島の誇る最硬の結界『玄武盤石厳界』の一部を砕いている。

