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淫夢売ります
第55章 斜陽の楽園:壊れる世界
「痛っ!」
ツキンと私のこめかみに鋭い痛みが走る。また例の感覚だ。何かを思い出しそうな・・・なにか大切なことを忘れてしまっているような、そんな感覚。
なんだろう・・・これ・・・?
ふと、顔を上げると目の前で同じく書類作成をしていた佐久本さんの姿が目に入った。パソコンに向かって営業データを打ち込んでいるのだろう。真剣な顔で画面に向き合っていた。
あれ?
ジジジ・・・ジジ・・・
目の前の景色がザワッと揺らぐ。それは故障したテレビにノイズが走るみたいにも見えた。
何・・・今の?
ジジジジジジ・・・ジジ・・・
不快な音。耳の奥で響くあの音がする。ぎゅっと一回目を閉じて、もう一度開くと、ノイズは消えたけれども、耳につく音は変わらなかった。
戸惑っていた私の前で、いつの間にか手を止めていた佐久本が、ゆっくりと顔を上げる。
ひっ!
その顔がニタリと歪な笑みを浮かべたように見えて、私は悲鳴を上げそうになった。ジジジっと音を立てて、またしても視界にノイズが走る。周囲の景色から通常の色彩が剥がれ落ち、全体が赤黒い不気味な雰囲気に包まれていた。
これは夢だ・・・、咄嗟に私はそう判断した。こんなの現実であるわけがない。
ガタン、と椅子を引くと、背後の什器にぶつかって派手な音を立てる。そんな私を見て、佐久本がゆっくりと立ち上がり、私に向かって机越しに手を伸ばそうとしてくる。
「嫌っ!」
口元にはいやらしい笑みが張り付いており、その目は人のものではないかのように暗く落ちくぼんでいた。伸ばしてきたその手はぬらぬらと嫌らしくぬめり気を帯び、真っ黒なのだ。
「きゃ・・・きゃあああっ!!」
叫んだ拍子に椅子からずり落ちてしまった私の方に、その人ではない『ナニカ』が迫ってくる。それから逃れようと、私はもつれる足になんとか力を込め、立ち上がった。
これが夢なら・・・カード・・・カードをっ!
幸いなことに、今日はカードを持ち歩いていたはずだった。カードはロッカールームの鞄の中だ。一応周囲を見渡し見たけれども、先程まで普通に人で溢れていたはずのオフィスは薄暗くなり、人気(ひとけ)がなくなっていた。
ツキンと私のこめかみに鋭い痛みが走る。また例の感覚だ。何かを思い出しそうな・・・なにか大切なことを忘れてしまっているような、そんな感覚。
なんだろう・・・これ・・・?
ふと、顔を上げると目の前で同じく書類作成をしていた佐久本さんの姿が目に入った。パソコンに向かって営業データを打ち込んでいるのだろう。真剣な顔で画面に向き合っていた。
あれ?
ジジジ・・・ジジ・・・
目の前の景色がザワッと揺らぐ。それは故障したテレビにノイズが走るみたいにも見えた。
何・・・今の?
ジジジジジジ・・・ジジ・・・
不快な音。耳の奥で響くあの音がする。ぎゅっと一回目を閉じて、もう一度開くと、ノイズは消えたけれども、耳につく音は変わらなかった。
戸惑っていた私の前で、いつの間にか手を止めていた佐久本が、ゆっくりと顔を上げる。
ひっ!
その顔がニタリと歪な笑みを浮かべたように見えて、私は悲鳴を上げそうになった。ジジジっと音を立てて、またしても視界にノイズが走る。周囲の景色から通常の色彩が剥がれ落ち、全体が赤黒い不気味な雰囲気に包まれていた。
これは夢だ・・・、咄嗟に私はそう判断した。こんなの現実であるわけがない。
ガタン、と椅子を引くと、背後の什器にぶつかって派手な音を立てる。そんな私を見て、佐久本がゆっくりと立ち上がり、私に向かって机越しに手を伸ばそうとしてくる。
「嫌っ!」
口元にはいやらしい笑みが張り付いており、その目は人のものではないかのように暗く落ちくぼんでいた。伸ばしてきたその手はぬらぬらと嫌らしくぬめり気を帯び、真っ黒なのだ。
「きゃ・・・きゃあああっ!!」
叫んだ拍子に椅子からずり落ちてしまった私の方に、その人ではない『ナニカ』が迫ってくる。それから逃れようと、私はもつれる足になんとか力を込め、立ち上がった。
これが夢なら・・・カード・・・カードをっ!
幸いなことに、今日はカードを持ち歩いていたはずだった。カードはロッカールームの鞄の中だ。一応周囲を見渡し見たけれども、先程まで普通に人で溢れていたはずのオフィスは薄暗くなり、人気(ひとけ)がなくなっていた。

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