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淫夢売ります
第55章 斜陽の楽園:壊れる世界
☆☆☆
薄暗いモルフェの店内。
黒いビロードのクロスの上に置かれた二枚のカード。
一枚は、裏が赤、表には『斜陽の楽園に座る乙女』の図案・・・それは『現実からの逃避』を意味していた。そのカードは今まさに、モルフェの女主人、ユメノの目の前でその色彩を失い、灰色にくすんでいってしまったのだ。
「あら・・・アヴァロンのカードが・・・。どうやら『騎士』の男の子、本当に救い出しちゃったのね・・・」
確か、名前・・・彰吾くん、っていったかしら?
夢の中から恋人を救い出す方法を知りたいなんてね。
ユメノはもう一枚のカードを手に取る。
それこそが彰吾に渡したカードのペア。裏が赤、表には『甲冑を着て剣を構える騎士』が描かれたカードだった。
「カグラったら、自分のところにいる入院患者の付添人の願いだからって、わざわざうちにつれてこなくてもいいのに。お陰でせっかく甘い夢を見続けてくれる子を見つけたと思ったのに、パアになっちゃったわ」
口では不満そうなセリフだったが、その実、彼女はなんとなく楽しそうな様子だった。
その手の中で、くるくると『騎士』のカードを器用に弄んで笑っていた。
「温かい楽園の『夢』を打ち破る・・・それほどの信頼なんて、『現実』にあるのね・・・。ただ、大変なのはこれからよ?」
二本の指で対角線を押さえつけた『騎士』のカードに、ふっと息を吹きかける。カードは指の間でくるくると回った。
「でも、あなたなら守り抜くんでしょ?そのための・・・ナイトだもんね」
『円卓の騎士のカード』・・・その意味するところは『苦難を打ち破る誓い』
もう飽きたのか、ユメノはカードを『使用済み』の引き出しに放り込んだ。
夢を見ない『騎士』のカードはユメノにとっては価値のないもの、だからだ。
すでに彼女の関心は、バックヤードで仮眠を取らせているカグラに、これから一体何を食べさせようかということに移っていた。
夢占モルフェの一つの夜が、こうしてまた、静かに過ぎていった。
薄暗いモルフェの店内。
黒いビロードのクロスの上に置かれた二枚のカード。
一枚は、裏が赤、表には『斜陽の楽園に座る乙女』の図案・・・それは『現実からの逃避』を意味していた。そのカードは今まさに、モルフェの女主人、ユメノの目の前でその色彩を失い、灰色にくすんでいってしまったのだ。
「あら・・・アヴァロンのカードが・・・。どうやら『騎士』の男の子、本当に救い出しちゃったのね・・・」
確か、名前・・・彰吾くん、っていったかしら?
夢の中から恋人を救い出す方法を知りたいなんてね。
ユメノはもう一枚のカードを手に取る。
それこそが彰吾に渡したカードのペア。裏が赤、表には『甲冑を着て剣を構える騎士』が描かれたカードだった。
「カグラったら、自分のところにいる入院患者の付添人の願いだからって、わざわざうちにつれてこなくてもいいのに。お陰でせっかく甘い夢を見続けてくれる子を見つけたと思ったのに、パアになっちゃったわ」
口では不満そうなセリフだったが、その実、彼女はなんとなく楽しそうな様子だった。
その手の中で、くるくると『騎士』のカードを器用に弄んで笑っていた。
「温かい楽園の『夢』を打ち破る・・・それほどの信頼なんて、『現実』にあるのね・・・。ただ、大変なのはこれからよ?」
二本の指で対角線を押さえつけた『騎士』のカードに、ふっと息を吹きかける。カードは指の間でくるくると回った。
「でも、あなたなら守り抜くんでしょ?そのための・・・ナイトだもんね」
『円卓の騎士のカード』・・・その意味するところは『苦難を打ち破る誓い』
もう飽きたのか、ユメノはカードを『使用済み』の引き出しに放り込んだ。
夢を見ない『騎士』のカードはユメノにとっては価値のないもの、だからだ。
すでに彼女の関心は、バックヤードで仮眠を取らせているカグラに、これから一体何を食べさせようかということに移っていた。
夢占モルフェの一つの夜が、こうしてまた、静かに過ぎていった。

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