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淫夢売ります
第54章 斜陽の楽園:繰り返す悪夢
☆☆☆
いったい、私はどうしてしまったのかな・・・。
そんな風に思いながら、私は電車を降りて最寄り駅のホームに降り立っていた。時刻は15時前。平日のこの時間に、最寄り駅にいることなど稀なので、見知った駅のはずなのに何となく違うように見える。専業主婦なのかな?小さな子供を二人連れた女性が大きな荷物を肩に掛けて歩いている。かと思えば、私立高校の女子生徒らしき子たちがワイワイ騒ぎながら駅の階段を登ってきていた。
この日、私はいつもの『帰るコール』を彰吾に入れていなかった。なんとなく声をかけづらかったのだ。
彰吾にはとても良くしてもらっているのに、こんな情けない姿を見せたくない・・・という心理が働いたのかもしれない。それに、まだ昼間で明るいし、これだけの人出があるのだから大丈夫だろうという計算もあったと思う。
しかし、この油断がよくなかった。それは、私が駅から少し離れた場所にある公園に差し掛かったときのことだった。
不意に視線を感じて視線を上げると、目の前に、頭の先から足の先まで黒尽くめの男がいた。あの男だ、と思ったときにはもう遅かった。いつの間にか男はほんの数メートル先まで接近していたのだった。
逃げなきゃ・・・
そうは思うのだが、足が震えて力が入らない。昼間の公園にいるにはあまりにも不釣り合いな男の姿は、そこだけがまるでこの世界とは相容れない異物であるかのようだった。
怖い、怖い・・・怖いっ!
未知のものに対する純粋な恐怖が私の心を支配する。思考は混乱し、叫ぶことはおろか、身動きひとつ取ることができない。サングラスを掛けているので、男の視線がどこにあるかわからない。その口元は何かを言いたげに動いているような気もした。
男が一歩、近づいてきた。じゃりっと男の足元の砂が音を立てる。
こんな時に限って、周囲には誰もいない。背筋に冷や汗が流れ、目だけが忙しなく動き回る。
ドキ、ドキ、ドキ・・・
心臓が痛いほど震え、手も足もスーッと冷たくなっていく。身体全部が自分のものではない冷たい石像になってしまったかのようだった。
こ・・・来ないで・・・っ!
言いたいが、それすらできない。男が、また一歩、近づいてきた。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
いったい、私はどうしてしまったのかな・・・。
そんな風に思いながら、私は電車を降りて最寄り駅のホームに降り立っていた。時刻は15時前。平日のこの時間に、最寄り駅にいることなど稀なので、見知った駅のはずなのに何となく違うように見える。専業主婦なのかな?小さな子供を二人連れた女性が大きな荷物を肩に掛けて歩いている。かと思えば、私立高校の女子生徒らしき子たちがワイワイ騒ぎながら駅の階段を登ってきていた。
この日、私はいつもの『帰るコール』を彰吾に入れていなかった。なんとなく声をかけづらかったのだ。
彰吾にはとても良くしてもらっているのに、こんな情けない姿を見せたくない・・・という心理が働いたのかもしれない。それに、まだ昼間で明るいし、これだけの人出があるのだから大丈夫だろうという計算もあったと思う。
しかし、この油断がよくなかった。それは、私が駅から少し離れた場所にある公園に差し掛かったときのことだった。
不意に視線を感じて視線を上げると、目の前に、頭の先から足の先まで黒尽くめの男がいた。あの男だ、と思ったときにはもう遅かった。いつの間にか男はほんの数メートル先まで接近していたのだった。
逃げなきゃ・・・
そうは思うのだが、足が震えて力が入らない。昼間の公園にいるにはあまりにも不釣り合いな男の姿は、そこだけがまるでこの世界とは相容れない異物であるかのようだった。
怖い、怖い・・・怖いっ!
未知のものに対する純粋な恐怖が私の心を支配する。思考は混乱し、叫ぶことはおろか、身動きひとつ取ることができない。サングラスを掛けているので、男の視線がどこにあるかわからない。その口元は何かを言いたげに動いているような気もした。
男が一歩、近づいてきた。じゃりっと男の足元の砂が音を立てる。
こんな時に限って、周囲には誰もいない。背筋に冷や汗が流れ、目だけが忙しなく動き回る。
ドキ、ドキ、ドキ・・・
心臓が痛いほど震え、手も足もスーッと冷たくなっていく。身体全部が自分のものではない冷たい石像になってしまったかのようだった。
こ・・・来ないで・・・っ!
言いたいが、それすらできない。男が、また一歩、近づいてきた。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

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