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淫夢売ります
第42章 淫らな選択:燃える身体
あのとき、あの指が、もし私の乳首に届いていたら・・・。

そう思うと、またドキンと胸が跳ね、背中がむず痒いような感覚に襲われる。怖い、のと、奇妙な興奮が入り混じったこの気持ちに、私は名をつけることができないでいた。

やっぱり・・・

今日も決心がつかない。すっと、カードを棚に戻す。
そのままコロンとベッドに横になった。

オフホワイトのふわっと裾が広がったようなネグリジェ。スクエアネックで胸元にレースがあり、タッセル付きの細いリボンがアクセントになっていて、袖口や裾にはフリルがいっぱいだった。柔らかな生地で肌触りが良くて気に入っているものだったが、友人からは「お嬢様チックだね」などと言われてしまっていた。

明日は・・・

そうか、明日は朝からクライアントのところに行く・・・先輩と現地集合だったはずだ。場所的にはいつもより遅く出ても間に合うくらい・・・でも、同じ時間に起きようかな・・・

そんな事を考えていたら、電話が鳴った。

本来、一人暮らしの部屋に固定電話などいらないのだが、実家の父母がどうしても置けというのでおいてある。そして、スマホはもちろん持っているが、父母は相変わらず固定電話の方に電話をかけてきた。

要するに、この電話を鳴らすのは、実家の親だけ、ということだ。

また、お見合いの話かな?

うんざりした声が出ないように、少し深呼吸してから受話器を取る。電話口は母だった。そして、案の定、また見合い写真を送ったからよく見ておくように、そろそろ一度家に戻ってきて真剣に日取りなどの話をしよう・・・そんな内容だった。

「うん・・・うん、うん・・・わかった・・・明日、会社の予定見て・・・え・・・あ・・それなら・・・うん・・・じゃあ、今週末・・・」

電話を切る。結局、今週末に一度家に帰ることを約束させられてしまった。『お父さんも心配しているから』『お母さんもあなたのためになると思うの』・・・そう言われてしまうと、断れない。

今週末、帰ったらきっとお見合いの日取りを決めさせられる。
そして、決まったら、きっと怒涛の勢いで結婚・・・

結婚・・・?
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