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淫夢売ります
第42章 淫らな選択:燃える身体

私の手に、一枚のカードがあった。
数日前、裏新宿にある奇妙な占いの店『夢占モルフェ』で購入したものだった。
『白い手と黒い手を差し伸べられている乙女』
とでもいうのだろうか?昔読んだファンタジー小説の挿絵のようなきれいな図版だった。中央に白いふわふわっとした服を着た白銀の髪の女性が横すわりしている画面の右と左から手が伸びている。多分、手は男性の手。左から伸びているのは浅黒い力強そうな手。右から伸びているのは色白ですっとした感じの手。中央の女性はまるでおとぎ話のフェアリーのようで、顔を画面右側、つまり白い手の方に向けながらも、その手は左方向、つまり黒い手の方に伸びている・・・そんな図版だった。
裏を見ると丸や直線といった幾何学模様が描かれており、色は青色だった。材質は厚手の紙で、少なくとも私は触ったことがない種類の紙だった。
これが・・・
あの夜、ユメノに受けた説明を思い出す。
『このカードは、貴女の中の欲望を教えてくれます。好きなカードを一枚選んでください・・・』
『これを枕の下に敷いて寝るか、身につけて眠れば、素敵な淫夢が見られます』
『淫夢が、あなたに、貴女の身体が欲していることを教えてくれるでしょう』
そして・・・
『さあ・・・これが、貴女の欲望です』
受け取ったカードがこれだった。カードを見ただけでは意味がわからない。よく考えればこんなカードに2万5千円も支払うのは馬鹿げていたかもしれない。
でも・・・
そっと指先でカードをなぞる。
本当に・・・本当の本当に、私の・・・欲望が?
しかも、身体の欲望・・・。それが一体どのようなものなのか、私にとって全く見当もつかないことだった。敷くだけで特定の夢が見られる・・・そんな魔術的なことがあるわけがないとも思うのだが、あのユメノの不思議な色をたたえた目を思い出すたび、もしかしたらこのカードにも本当に不思議な力があるのかも・・・と真剣に考えてしまう。
この数日、私は夜寝る前にこのカードを取り出しては眺め、眺めてはまたしまう、ということを繰り返していた。さすがにこの年だ。淫夢というのが何を意味しているのかくらいは分かっているつもりだ。
そして、頭によぎるのはいつもあの電車で見た『夢』だった。
数日前、裏新宿にある奇妙な占いの店『夢占モルフェ』で購入したものだった。
『白い手と黒い手を差し伸べられている乙女』
とでもいうのだろうか?昔読んだファンタジー小説の挿絵のようなきれいな図版だった。中央に白いふわふわっとした服を着た白銀の髪の女性が横すわりしている画面の右と左から手が伸びている。多分、手は男性の手。左から伸びているのは浅黒い力強そうな手。右から伸びているのは色白ですっとした感じの手。中央の女性はまるでおとぎ話のフェアリーのようで、顔を画面右側、つまり白い手の方に向けながらも、その手は左方向、つまり黒い手の方に伸びている・・・そんな図版だった。
裏を見ると丸や直線といった幾何学模様が描かれており、色は青色だった。材質は厚手の紙で、少なくとも私は触ったことがない種類の紙だった。
これが・・・
あの夜、ユメノに受けた説明を思い出す。
『このカードは、貴女の中の欲望を教えてくれます。好きなカードを一枚選んでください・・・』
『これを枕の下に敷いて寝るか、身につけて眠れば、素敵な淫夢が見られます』
『淫夢が、あなたに、貴女の身体が欲していることを教えてくれるでしょう』
そして・・・
『さあ・・・これが、貴女の欲望です』
受け取ったカードがこれだった。カードを見ただけでは意味がわからない。よく考えればこんなカードに2万5千円も支払うのは馬鹿げていたかもしれない。
でも・・・
そっと指先でカードをなぞる。
本当に・・・本当の本当に、私の・・・欲望が?
しかも、身体の欲望・・・。それが一体どのようなものなのか、私にとって全く見当もつかないことだった。敷くだけで特定の夢が見られる・・・そんな魔術的なことがあるわけがないとも思うのだが、あのユメノの不思議な色をたたえた目を思い出すたび、もしかしたらこのカードにも本当に不思議な力があるのかも・・・と真剣に考えてしまう。
この数日、私は夜寝る前にこのカードを取り出しては眺め、眺めてはまたしまう、ということを繰り返していた。さすがにこの年だ。淫夢というのが何を意味しているのかくらいは分かっているつもりだ。
そして、頭によぎるのはいつもあの電車で見た『夢』だった。

