この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
淫夢売ります
第35章 鎖とドレス:心の鎖
ただ、こういう考え方が今どき流行らないのも十分承知だ。柴田たちのように二次会まで付き合えばいい方で、下手すると飲み会自体に参加しないやつもいる。なんとなればそっちのほうが多い。プライベートの時間を大事に、というのが今の風潮だ。

きっと、そんな奴らからしたら、酔ってくだを巻く50絡みのおじさん課長の面倒を見るなんてまっぴらごめん、ということなのだろう。自分でも貧乏くじを引いているという自覚はある。せめて、柴田たちみたいに、二次会終わったくらいで早々にすっと消えるのが正解だろう。

「な?だからな・・・男ってのはさ、ガマンなわけよ。色々耐えて耐えてさ、それでも報われないことある・・・その覚悟の上でだなあ」

何やかや言いながら、課長はハイボール片手に突っ伏してしまう。

これ、しばらく寝たら起きるんかな?
家まで送るべきだろうか?

見ると、だいぶ疲れたような顔をしている。喋ってるときはイキイキしているけど、こうして眠っている時の顔だけ見ると、やっぱり頬は垂れ、皮膚はガサガサ、よく見れば目の下にもクマがある。相当、無理をしている、という感じだ。

ああ・・・我慢して、我慢して、出世して、それで一生懸命成果上げても、部下は遠巻きに見てて。
それで、奥さんには逃げられて、こんなボロボロになるまで働いて。
ちょっとした愚痴を言う相手も、多分いなくて。

でも、それって、課長だけじゃなくて、自分もかなと思う。
烏龍茶を流し込む。ほろ苦い独特の風味。

僕らの世代は追い立てられてばかりだ。
自己啓発、セルフブランディング、タイムパフォーマンス・・・

時間を無駄にせず、能力を高めて、人より抜きん出たところを作って、自分の市場価値を高めて、そうじゃないとあっという間にAIに仕事奪われてお払い箱。

待っているのは暗い地獄のような未来絵図。
人のことなんか構っていられない。冒険なんかできない。
自分をどう守るか、自分の生活をどう穏便に進めていくか、それしか考えられないし、考えるゆとりがない。

その行く末は、もしかしたら、結局、こんな感じなのかもしれない。
寝ている課長を見て、そんなふうに思ったりした。
/405ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ