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淫夢売ります
第33章 仮面の夜会:ギニョール
☆☆☆
ドレスだけを直され、私はファイに手を引かれて階段をおりていく。
『ドレスだけ』と表現したのは、私の下着は上も下もファイに取られてしまったからだ。

『この方が興奮するでしょう?』
ファイが言うとおり、私の胸は更に高鳴ってしまっていた。

一階に降りると、ホールの中央に円形の舞台のようなものが据えられていた。ピエスにあるソファに座っているカップルや、バーカウンターでグラスを傾けている人たちも、その舞台を注視しているようだった。

舞台の中央には、顔の右半分を覆うような銀の仮面を付け、タキシードを着た男性が立っていた。

「ファントムがもう出ています・・・。そのへんに座って開演を待ちましょう」
促されるままにピエスにある空いているソファに腰掛けた。
座ったはいいものの、どうにも下着がないのが落ち着かない。加えて、左隣にいるカップルが、先程から舌を絡めるような濃厚なキスをしているのも気になってしまう。

男の方はブルーに金糸が絡みついたような模様の目の部分だけを覆うようなシンプルな仮面、女性の方は渦巻きのような模様が施された面に、赤い羽飾りがついた派手な仮面をつけていた。

私がお尻をもぞもぞと動かしていると、ファイが微笑んで言った。
「下着がないのが気になりますか・・・?
 何、すぐに、そんなことくらい、気にならなくなりますよ」

どういう・・・

そう思った時、パン!と舞台中央がスポットライトで照らされる。その光の中、ファントムは両手を上げて高らかに口上を述べる。

「紳士淑女の皆様!お待たせいたしました。
 これより、パルティエ・フィーヌの時間とさせていただきます」
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