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The Bitch (ザ、ビッチ)
第8章 エピローグ  『わたしの好きに...』
 49

「あ、ゆ、悠里さんが、全然変わってなくてぇ…
 い、いや…
 前より、き、きれいに……」

「え…」
 この言葉で…
 いつものわたしが、戻ってきたみたい。
 
​「何、それ…口説いてるつもりなの?」

「あ…い、いや……」

​ わざと意地悪く返し、逸らずに見つめ…

 いや、ようやく…
 ちゃんと、顔が見れた。

 あれから、約三ヶ月…
 あの夜が、まるで、嘘のように遠くに感じられてきた。

「……でさぁ」
 グラスを軽く揺らしながら…

「ずっと、見てたんだ?」

「あ、は、はい……」

「ふぅん……」
 くすっと、笑う。

「変わんないねぇ、和哉」

「え…」

「そういうとこ」

「あ、いや…」
 視線を逸らす、その仕草も…
 やっぱり、変わらない。

「ねぇ…」

「は、はい……」

 グラスをカウンターに置き…

 ほんの少しだけ、身体を向け、脚を組む。

「………」

 その脚を…

 ストッキング脚を…

 ジッと見てくる、その和哉の目に…

 わたしの中の『ビッチ』が、ゆっくりと、目を覚ましてきた―――
 
「ねぇ……」

 指先を、組んだストッキング脚の膝の上に置く…

「………」

 和哉の目は、逸れない…

「麻耶さん…とは……」

 膝の上の指の先を、爪立たせる…

「え…ぁ…」

 真っ赤なネイルが、艶やかに光る…

「ほら…」

「え、あ…」

 視線は、逸れない。

 本当ならば…

 麻耶さんがあの夜を、話していなければ…

 わたしの口から、名前が出る事自体が、不自然なのだ。

 だが、違和感はないみたい―――
 
 だから…

「な、仲良く…しているの……」

「え……」

「あれから…さ……」

 敢えて意地悪で…
 
 シニカルな、問い掛けをする。

「あ………」

「ちゃんと、話してっ…」

 目覚めた、ビッチが、そう言わせる―――



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