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The Bitch (ザ、ビッチ)
第8章 エピローグ  『わたしの好きに...』
 16

「ふうぅ…」
 わたしは二杯目のマティーニを飲み、そして帰宅して、そのまま倒れ込むようにベッドに横になった。

 昨夜からの今夜という流れと、ゴールデンウィーク明けから続く仕事の忙しさという疲れもあったのであろう…
 それにさほどお酒が強い訳でもないのに、連夜の二杯ずつのドライマティーニのアルコール度数は、心とカラダには強過ぎたのだろうと思う。

 帰宅した途端に、一気に酔いが回ってきた…

「ふうぅぅ…」
 ベッドに仰向けになり、目を瞑る。
 アルコールの酔いで、鼓動が速い。

 だが…
 この胸の鼓動、いや、高鳴り、ううん、騒めきは、決して酔いのせいだけではないと分かっていた。

「はぁ、ふうぅ…」
 とりあえず仰向けのままに、スカートを脱ぐ。

 ドキドキが…
 いや、ザワザワも止まらない。
 
 ううん、むしろ加速しているみたい…

 そして閉じた瞼の裏には、昨夜の彼の顔が…
 あの惚けたハイヒールフェチの潤んで濡れた目が浮かび…

 あ…
 それとさっきの…
『えぇ、でもぉ、わたしだったらぁ…
 悠里さんのストッキングの爪先を、悦んで舐めちゃいますけどねぇ』
 という、麻妃ちゃんのコトバと…
『あらぁ、じゃぁ、麻妃ちゃん今度試してみるぅ?
 わたし、両方いけるバイだからさぁ…』
 そんな、わたし自身のビッチの仮面という虚飾の見栄と、強がりからの交わした会話が脳裏を逡巡してきていた。

 また、さっき一瞬、浮かんだ…
『心の穴を埋める為にも、それもありなのかな…』
 という、魅惑さと、未遂による不惑さからの未知のフェチな期待の想いが、心の奥深くでゆっくりと蠢き…

 そして…
 カラダの奥深くを…

 オンナという情念の中心の深部から…

 ズキズキと…

 昂ぶらせ、疼かせてくる…





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